法華経 現代語訳 87 (完)

その時に釈迦牟尼仏は、普賢菩薩を褒めて次のように語られた。「良いことだ。良いことだ。普賢菩薩よ。あなたはよくこの経を守護し、多くのところにいる衆生を安楽に導いた。あなたはすでに、思いもおよばない功徳深大な慈悲を成就したのだ。遠い昔から今ま…

法華経 現代語訳 86

妙法蓮華経 普賢菩薩勧発品 第二十八 (注:ここから、法華経の最終の章である『普賢菩薩勧発品(ふけんぼさつかんぼつほん)』となる。この章は、妙音菩薩がそうであったように、普賢菩薩が他の国から訪ね来ることによって始まる。勧発とは、人に勧めて心を…

法華経 現代語訳 85

こうして妙荘厳王は群臣や従者と共に、浄徳夫人は宮に仕える女官や従者と共に、王の二人の子は四万二千人と共に、仏のところにいった。そして頭面を仏の足につけて礼拝し、仏の周りを三周して、その片隅に座った。その時に仏は、王のために教えを説き、その…

法華経 現代語訳 84

妙法蓮華経 妙荘厳王本事品 第二十七 その時に仏は、大衆に次のように語られた。「測ることも想像することもできないほどの遠い過去に、仏がいた。その名を雲雷音宿王華智多陀阿伽度・阿羅訶・三藐三仏陀(うんらいしゅくおうけちただあかどあらかさんみゃく…

法華経 現代語訳 83

妙法蓮華経 陀羅尼品 第二十六 その時に薬王菩薩は、座より立って、右の肩を現わして合掌し、仏に向かって次のように申し上げた。世尊よ。もし良き男子や良き女人がいて、法華経を受け保ち、読誦し、深く理解し、経巻を書写するならば、どれほどの福を得るの…

法華経 現代語訳 82

(注:今回は、この『観世音菩薩普門品』の詩偈の部分となる。実は、二十二章目の『嘱累品』から最後までの各章において、全体的な散文の箇所の内容を、同じ内容の詩偈で繰り返すパターンで記されている章は、この『観世音菩薩普門品』だけである。さらに、…

法華経 現代語訳 81

もし婬欲が多ければ、常に念じて観世音菩薩をつつしみ敬うならば、欲を離れることができるであろう。もし怒りの思いが多ければ、常に念じて観世音菩薩をつつしみ敬うならば、怒りを離れることができるであろう。もし愚痴が多ければ、常に念じて観世音菩薩を…

法華経 現代語訳 80

妙法蓮華経 観世音菩薩普門品 第二十五 その時に無尽意(むじんに)菩薩は、座より立って、片方の右の肩を現わして(注:仏を礼拝する姿勢)、合掌し仏に向かって、次のように申し上げた。「世尊よ。観世音菩薩はどのような因縁によって、観世音と名づけられ…

法華経 現代語訳 79

妙音菩薩は娑婆世界に着き、七宝の台を降り、百千金の値の瓔珞を持って釈迦牟尼仏の所に至り、その足に頭面をつけて礼拝し、瓔珞を捧げて次のように申し上げた。「世尊よ。浄華宿王智仏は世尊に次のように訪ねておられます。『病少なく悩み少なく、立ち居振…

法華経 現代語訳 78

妙法蓮華経 妙音菩薩品 第二十四 その時に釈迦牟尼仏は、大いなる肉髻(にくけい・仏の頭部の盛り上がったところ)から光明を放ち、および眉間にある白毫(びゃくごう・仏の眉間にある毛の渦)から光を放って、東方にある、大河の砂を百八万億倍してさらに一…

法華経 現代語訳 77

宿王華菩薩よ。この経はすべての衆生を救うのである。この経はすべての衆生を、多くの苦悩から離れさせるのである。この経は大いにすべての衆生を導き、その願を満たすのである。それはまさに、清らかな池が、すべての渇乏する者を満たすようであり、寒さを…

法華経 現代語訳 76

その時、一切衆生憙見菩薩は、仏の滅度を見て嘆き悲しみ、仏を恋慕して、最高の妙なる香木をもって薪とし、仏の身を焼いて供養した。その火が消えてから舎利を収集し、八万四千の宝瓶を作って、八万四千の塔を建てた。その塔はどの世界よりも高く、厳かに飾…

法華経 現代語訳 75

妙法蓮華経 薬王菩薩本事品 第二十三 その時に、宿王華(しゅくおうけ)菩薩は、仏に次のように申し上げた。「世尊よ。薬王(やくおう)菩薩は、娑婆世界においてどのようなわざを行なうのでしょうか。世尊よ。この薬王菩薩は、百千万億を一千億倍した数の難…

法華経 現代語訳 74

妙法蓮華経 嘱累品 第二十二 (注:今回は、二十二章目にあたる『嘱累品(ぞくるいほん)』である。「嘱累」という言葉は、適切な現代語は見当たらないが、この法華経では、「この経を広めるために委ねる」という意味であり、この直前の『如来神力品』の中に…

法華経 現代語訳 73

妙法蓮華経 如来神力品 第二十一 その時に、千の世界を微塵にしたほどの数の大いなる菩薩たち、および地より涌き出た菩薩たちは、みな仏の前において一心に合掌し、その尊い御顔を仰ぎ見て、仏に次のように申しあげた。「世尊よ。私たちは世尊とその分身の諸…

法華経 現代語訳 72

この僧侶の命が終わろうとした時、虚空の中において、威音王仏が昔説かれた法華経の二十千万億の偈をつぶさに聞き、それをすべて受け保ち、そして先に述べた清らかな眼、耳、鼻、舌、身、意識を得た。 (注:この清らかな眼、耳、鼻、舌、身、意識を、原語で…

法華経 現代語訳 71

妙法蓮華経 常不軽菩薩品 第二十 その時に仏は、得大勢菩薩(とくだいせいぼさつ)に次のように語られた。「あなたはまさに知るべきである。もし、法華経を保つ僧侶や尼僧や男女の在家信者に対して、悪口を言い、罵ったり誹謗したりするならば、大きな罪の報…

法華経 現代語訳 70

また次に常精進菩薩よ。もし良き男子や良き女人が、この経を受け保ち、読誦し、解説し、書写するならば、千二百の舌の功徳を得るであろう。好ましい味、好ましくない味、おいしい味、まずい味、および多くの渋い味、苦い味など、この舌の器官においては、す…

法華経 現代語訳 69

その時に世尊は、再びこの内容を語ろうと、詩偈の形をもって次のように語られた。「この人は鼻が清らかであり この世にあって 香ばしい香りや臭い臭いなどを すべて嗅ぎ分けることができるであろう (注:法華経を保つ者は、あらゆる器官が優れた能力を持つ…

法華経 現代語訳 68

「また次に常精進菩薩よ。もし良き男子や良き女人が、この経を受け保ち、読誦し、解説し、書写するとするならば、八百の鼻の功徳を成就するであろう。この清浄の鼻の器官をもって、あらゆるすべての世界の、上下、内外のさまざまな香を嗅ぐことができるであ…

法華経 現代語訳 67

妙法蓮華経 法師功徳品 第十九 (注:今回からは、第19章目にあたる『法師功徳品(ほっしくどくほん)』である。法師とは、以前にもあったが、法華経を受け保つ者を指す。つまり、法華経を受け保ち、それを人に説く者自身に、どのような功徳があるか、とい…

法華経 現代語訳 66

妙法蓮華経 随喜功徳品 第十八 (注:今回は、第十八章目にあたる『随喜功徳品(ずいきくどくほん)』である。「随喜」とは、法華経においてはこの経を聞いて喜ぶことであり、すでに前の章である『分別功徳品』に、この随喜の功徳についても述べられていた。…

法華経 現代語訳 65

(注:今回は、『分別功徳品』の後半となる。以前も述べたが、法華経は、伝統的な解釈においては、前半の迹門(しゃくもん)と後半の本門(ほんもん)の二つに分けられる。そして、迹門も本門もさらに、正宗分(しょうしゅうぶん)と流通分(るつうぶん)の…

法華経 現代語訳 64

妙法蓮華経 分別功徳品 第十七 (注:今回から、十七章目にあたる『分別功徳品(ふんべつくどくほん)』である。「分別」とは、ここまで多く見られた言葉であるが、そもそもこの言葉には「わきまえる」という意味がある。仏の本当の寿命は永遠なのだ、という…

法華経 現代語訳 63

その時に世尊は、再びこの内容を述べようと、詩偈の形をもって次のように語られた。 「私は仏になって今まで その経て来た劫の数は無量であり 百千万億年を測り知れないほど倍にした長さである その間常に教えを説いて 無数億の衆生を教化して 仏の道に入ら…

法華経 現代語訳 62

例えば、智慧が豊かで、薬の知識が豊富で、よく多くの病を治す良医がいたとする。その人の子供たちは多く、十、二十、あるいは百人以上だったとする。ある時、用事があって遠い国に出かけた。その間に子供たちは毒薬を飲んでしまい、苦しんで地に転げまわっ…

法華経 現代語訳 61

多くの良き男子たちよ。如来は、劣った教えを願う、徳の薄い汚れが重い衆生見るならば、その人のために、『私は若い時に出家して、後に最高の悟りを得たのだ』と説くのである。しかし、私は仏になってから今まで、実に膨大な年月を経て来たことは、すでに述…

法華経 現代語訳 60

妙法蓮華経 如来寿量品 第十六 (注:いよいよ今回から、第十六章目の『如来寿量品(にょらいじゅりょうほん)』に入る。天台宗では、迹門の『方便品』と本門の『如来寿量品』を同等か、どちらかと言えば、迹門の方を重要視するが、日蓮宗と日蓮系の諸宗教は…

法華経 現代語訳 59

その時に釈迦牟尼仏は、弥勒菩薩に次のように語られた。 「良いことだ、良いことだ。阿逸多(あいった・弥勒菩薩の別名)よ、よく仏にこの大いなることを尋ねた。あなたたちはまさに共に一心に精進の鎧を着て、堅固なる心を起こすべきである。如来は今、諸仏…

法華経 現代語訳 58

その時に弥勒菩薩、および大河の砂の数を八千倍したほど多くの菩薩たちは、みな次のように思った。 「私たちは昔より今まで、このような大いなる菩薩たちが、地より涌き出して、世尊の前にあって合掌し供養して、如来に挨拶をするようなことは、見たことも聞…