解説を交えながら法華経を読もう

解説を交えながら、法華経をわかりやすく現代語訳することを目指しています。何より、法華経には何が書いてあるかを知っていただきたいと願っています。数日に一回程度、アップして行くつもりです。訳者については、http://nozomichurch.net/ をご覧ください。

法華経 現代語訳 41

その時、世尊は再びこのことを述べようと、詩偈をもって次のように語られた。

「大通智勝仏は 十劫の間道場に座しておられたが 最高の悟りを得ることはできず 仏の道を成就することはなかった 多くの天の神や龍王 阿修羅たちは 常に天の花を降らして その仏を供養した 諸天は天の鼓を打ち また多くの伎楽を演奏した 香風は萎んだ花を吹き飛ばし さらに新しい花を降らせた このように十小劫が過ぎ 仏は仏の道を成就した 諸天および世の人々は みな躍り上がるほど喜んだ

その仏の十六人の子は みなその千万憶の従者と共に 仏のところに行き 頭に仏の足をつけて礼拝し 教えを説くことを願って次のように言った 『聖なる獅子である仏よ 教えの雨によって 私とすべての人々を満たしたまえ 世尊に会うことは非常に困難である 非常に長い歳月の間 一度だけ出現され 群衆を悟りに導くために すべてを揺り動かされる』

東方五百万億の梵天の宮殿は 今までなかったほどに光輝いた 多くの梵天はこの様子を見て 仏のところに来て 花を注いで供養し そして宮殿をささげ 仏に教えを説くよう願って 詩偈をもって褒めたたえた しかし仏は未だ時が至っていないと知られ そのまま黙って座っておられた あらゆる方角また上下の世界の梵天もまた同じように 花を注いで宮殿をささげ 仏に教えを説くよう願って次のように言った 『世尊に会うことは大変難しいことである 願わくは大いなる慈悲をもって 広く甘露の門を開き 無上の教えを説きたまえ』

 智慧が無量の世尊は それらの願いを受けて あらゆる教え 四諦十二因縁を説かれた 無明から老死に至るまで みな縁によって生じる このような多くの苦しみや悩みを あなたたちは知るべきであると このような教えを語られた時 六百万億を千億倍したほどの人々は あらゆる苦しみを滅ぼすことができ みな阿羅漢(あらかん・聖者という意味)となった 第二の説法の時も 数えきれないほどの人々が あらゆる執着を断ち切り また阿羅漢となった これ以降に煩悩を断ち切った人々は たとえ一万憶劫の時間をかけて数えても 数えきれないほどであった

この時に十六王子は 出家して沙弥となり みな共に仏に 大乗の教を説くことを願って 次のように言った 『私たちと他の従う者たちは みな仏の道を成就するであろう 願わくば世尊のごとく 最も清らな智慧の眼を得ることを』
仏は子供たちの心が 前世からの因縁によることを知られ 無量の因縁 あらゆる比喩をもって 大乗の菩薩が行なうべき六つの道(六波羅蜜・ろくはらみつ) および多くの神通力のことを説かれ 真実の教えであり 菩薩の行なうべき道の教えであるこの法華経の 大河の砂の数ほどの詩偈を説かれた
仏は経を説き終り 静かな部屋において禅定に入られ 一心にひとつのところに 八万四千劫の間座り続けた 多くの沙弥たちは 仏が禅定より出られないのを知り 無量億の衆生のために 仏の無上の智慧を説いた それぞれの教えの座に上り この大乗経を説き さらに仏の滅度の後において 教えを説いて その仏の教化を助けた それぞれの沙弥たちの 導いたところの衆生の数は 大河の砂の数の六百万億倍ほどであった 仏の滅度の後 この教えを聞いた者たちは 生まれ変わっても その仏国土に 常にその師と共に生じるのである

この十六の沙弥は 仏の道を行じて 今現にあらゆる方角にあって 最上の悟りを成就した その時に教えを聞いた者たちは それぞれの諸仏のところにあって声聞となり 次第に仏の道を教えられている 

この私も 十六の沙弥の中にあって かつてあなたたちのために教えを説いた そのために方便の力をもって あなたたちを導いて仏の智慧に入らせるのである このような因縁をもって 今法華経を説いて あなたたちを仏の道に入らせるのである 謹んで恐れ驚くことがないようにせよ
たとえば 険しく悪しき道が延々と続き 毒を持つ獣も多く また水も草もなく 人々が恐れる場所があったとする 無数千万の人々が この険しい道を過ぎようとしていた その道は非常に長く遠く 距離が測ることさえできないほどだった その時に一人の導師がいた 知識が豊富で智慧が明瞭であり 心が落ち着いていた 危険なところにあっても 人々を導き救うことができた しかし人々は疲労困憊して 導師に次のように言った 『私たちは疲れきった ここから引き返したいと思う』 導師は次のように思った 『この人々は憐れむべき者たちだ なぜここで引き返して 大いなる珍宝を失おうとしているのだ』 そして方便によって神通力を用いるべきだと考え 大きな城を現わして 多くの建物を厳かに飾った 周りには園や林があり 川が流れ沐浴する池もあり 幾重にも階が重ねられた高い楼閣もあり そこには男女の人々が満ちていた このように仮の城を現わし終わって 人々を慰めて次のように言った 『恐れることはない あなたたちがこの城に入るならば 思う存分楽しむがよい』 多くの人々は この城に入って 大いに喜び みな心安らかに 命が助かったと思った 導師は人々がじゅうぶん休んだと知って 人々を集めて次のように言った 『あなたたちは前に進むべきである これは仮に現わされた城である あなたたちが疲労困憊して 途中で引き返そうとしているのを見て 方便の力をもって 仮にこの城を現わしたのだ あなたたちは今 勤めて精進して まさに宝のある所に行くべきである』

私もまたこのようである 私はすべての導師である この道を求める者たちが 途中で弱り果て 生死の煩悩の険しい道を乗り越えることができないのを見た このために方便の力をもって 休めるために涅槃を説いて あなたたちは苦しみを滅ぼし 到達すべきところに至ったと言ったのだ そしてすでに涅槃に至り みな阿羅漢となったことを知って 大衆を集めて 真実の教えを説いた 諸仏は方便の力をもって 三乗を説いたのだ ただ一仏乗のみあるのであり 休ませるために二乗を説くのだ

今あなたたちに真実を説く あなたたちが得たと思っているものは 真実の悟りではない 仏のすべてを知る智慧のために まさに大いに精進する心を持つべきである あなたたちがすべてを知る智慧を得て 仏の十種類の力などによって 仏の教えを証し 仏のみが持つとされる三十二の姿を身につけるならば すなわちこれが真実の悟りである
諸仏の導師は 休めるために涅槃を説くのだ すでに休み終えたと知れば 仏の智慧に導き入れるのだ」

つづく 

 

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