法華経の現代語訳と解説

解説を交えながら、法華経をわかりやすく現代語訳することを目指しています。何より、法華経には何が書いてあるかを知っていただきたいと願っています。数日に一回程度、アップして行くつもりです。訳者については、http://nozomichurch.net/ をご覧ください。

法華経 現代語訳 67

妙法蓮華経 法師功徳品 第十九

 

(今回からは、第19章目にあたる『法師功徳品(ほっしくどくほん)』である。法師とは、以前にもあったが、法華経を受け保つ者を指す。つまり、法華経を受け保ち、それを人に説く者自身に、どのような功徳があるか、という内容である。

そして、本門に入った『従地涌出品』から前回の『随喜功徳品』までの、いわゆる本門の中心を形成する部分においては、仏の説法の対象は弥勒菩薩であった。しかし、今回の相手は常精進菩薩(じょうしょうじんぼさつ)となる。このように、章によって相手が違ってくるが、このような違いも、その箇所が成立した順番や経緯などを考えるときにヒントを与えるものである。)

 

その時に仏は、常精進菩薩に次のように語られた。

「もし良き男子や良き女人がいて、この法華経を受け保ち、あるいは読み、あるいは読誦し、あるいは解説し、あるいは書写したとする。その人は、まさに八百の眼の功徳、千二百の耳の功徳、八百の鼻の功徳、千二百の舌の功徳、八百の身の功徳、千二百の心の功徳を得るであろう。この功徳をもって、あらゆる器官を優れたものとし、清らかにするであろう。

この良き男子や良き女人は、生まれながらの清らかな肉眼をもって、あらゆる世界の内外にある山林や川や海を見ることができ、下は地獄の底から、上は天の最も高い世界に至る、すべての世界のすべての衆生を見、そのすべての業の因縁、そしてその果報の有様を見て、ことごとく知ることができるであろう。」

 

(注:「八百の眼の功徳、千二百の耳の功徳」などと言われても、いったい何のことやら、と思わざるを得ない。今までのほぼすべての記述もそうであったが、法華経に関する功徳についても、とてもこの世の常識では受け入れがたい記述が続く。しかし、それは当然であり、法華経は、この世に留まらず、むしろ、過去世、未来世、そして霊的世界についての真理を表現しているのであり、この世の常識で受け取るものではないのである。法華経の真理を読み解くためには、霊的世界に対する信仰が必要である。つまり、法華経を素直に受け取り、それを読み進めること自体が、この真理の霊の世界に足を踏み入れていることであり、その世界の広がりは、この世の空間、時間を超越しているのである。)


その時に世尊は、再びこの内容を述べようと、詩偈の形をもって次のように語られた。

「もし大衆の中において 恐れることなく この法華経を説くことについての功徳を あなたたちは聞くがよい この人は八百の 功徳ある優れた眼を得るであろう この功徳がその目に満ち溢れるために その目は非常に清らかであろう 生まれたままの眼をもって すべての世界の山々や山林 そして大海や江河の水を見ることができ その範囲は地獄の底から天上界の最も高いところに至る さらにその中にいるすべての衆生を見る まだ天眼(てんげん・神通力の一種)を得てはいないといえども その肉の眼の能力はこのようになる」

「また次に常精進よ。もし良き男子や良き女人が、この経を受け保ち、読み、読誦し、解説し、書写したとするれば、彼らは千二百の耳の功徳を得るであろう。この清らかな耳をもって、すべての世界において、下は地獄の底から上は天の最も高いところの、内外のあらゆる言語、音声、象の声、馬の声、牛の声、車の音、泣き叫ぶ声、悲しみ嘆く声、螺(ほらがい)の音、鼓(つづみ)の音、鐘の音、鈴の音、笑う声、語る声、男の声、女の声、童子の声、童女の声、教えの声、教えではない声、苦しみの声、楽しみの声、凡夫の声、聖人の声、喜ぶ声、喜んではいない声、天の声、龍の声、夜叉(やしゃ)の声、乾闥婆(けんだつば)の声、阿修羅(あしゅら)の声、迦楼羅(かるら)の声、緊那羅(きんなら)の声、摩睺羅迦(まごらか)の声、火の音、水の音、風の音、地獄の声、畜生の声、餓鬼の声、僧侶の声、尼僧の声、声聞の声、辟支仏の声、菩薩の声、仏の声を聞くであろう。

つまり、すべての世界の中の内外のあらゆる声を、まだ天の耳を得ていないといっても、生まれつきの清らかな耳をもって、みなことごとく聞いて知ることができるであろう。このようなあらゆる音声を聞き分けたとしても、耳そのものは損なわれることはない。」

 

その時に世尊は、再びこのことを述べようと、詩偈の形をもって次のように語られた。

「生まれつきの耳が 汚れのない清らかなものとなり この耳をもって すべての世界の音を聞くことができるであろう 象や馬や車や牛の声 鐘や鈴や螺(ほらがい)や鼓(つづみ)の音 琴や琵琶の音 簫(しょう)や笛の音 清らかな歌の声 これらを聞いても執着は起こさないであろう 無数のあらゆる人の声 聞いてすべて理解するであろう またあらゆる天の声 妙なる歌の声を聞き および男女の声 童子童女の声を聞くであろう 山や川や険しい谷の中の 迦陵頻伽(かりょうびんが・天的鳥)の声 命命(みょうみょう・神話の中のキジ)などのあらゆる鳥の音声を聞くであろう 地獄のあらゆる苦痛 さまざまな痛み苦しみの声 餓鬼が飢渇に苦しめられ 飲食を求める声 あらゆる阿修羅などが 大海のほとりに住んで 互いに話をする時 大きな声を出すことすらも聞くであろう このように法華経を説く者は この世にあって 遠くあらゆる世界の衆生の声を聞いても 耳を損なうことはないであろう あらゆる世界の中の 鳥や獣が互いに呼び合う声を 法華経を説く者は この世にあってすべてこれを聞くであろう あらゆる梵天のさらに上の天 および天の最も高いところの声も 法華経を説く者は すべてこれを聞くであろう すべての僧侶たち およびあらゆる尼僧が 経典を読誦し また他の人のために説くその声も 法華経を説く者は この世にあって すべて聞くであろう また多くの菩薩たちが 経典の教えを読誦し また他の人のために説き 人々を集めてその意味を解き明かすそのすべての声を聞くであろう また大いなる聖なる世尊が衆生を教化され あらゆる会衆の中において 妙なる教えを説くその声を この法華経を保つ者は そのすべてを聞くであろう すべての世界の内外のあらゆる音声 下は地獄の底から 上は天の最も高いところに至るまで みなその音声を聞いて その耳を損ねることはないであろう その耳の能力が優れているために すべて正しく聞き分けて知ることができるであろう この法華経を保つ者は まだ天の耳を得ていないといえども 生まれつきの耳を用いて その功徳はこのようになるであろう」

 

つづく

 

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