法華経 現代語訳 68

また次に常精進菩薩よ。もし良き男子や良き女人が、この経を受け保ち、読誦し、解説し、書写するとするならば、八百の鼻の功徳を成就するであろう。この清浄の鼻の器官をもって、あらゆるすべての世界の、上下、内外のさまざまな香を嗅ぐことができるであろう。
須曼那華香(しゅまんなけこう)、闍提華香(しゃだいけこう)、末利華香(まつりけこう)、瞻蔔華香(せんぼつけこう)、波羅羅華香(はららけこう)、赤蓮華香(しゃくれんげこう)、青蓮華香(しょうれんげこう)、白蓮華香(びゃくれんげこう)、華樹香(けじゅこう)、果樹香(かじゅこう)、栴檀香(せんだんこう)、沈水香(ぢんすいこう)、多摩羅跋香(たまらばつこう)、多伽羅香(たからこう)、および千万種の和香(わこう・あらゆる香を混ぜたもの)、あるいは粉にしたもの、あるいは丸めたもの、あるいは塗香(ずこう)など、この経を保つ者は、この世にあって、すべてよく嗅ぎ分けることができるであろう。
(注:多くの聞きなれない香の名前が列挙されているが、ひとつひとつがどのようなものであるかを知る必要はなく、またそもそも、完全に知ることは不可能である。妙なる植物や花の香りであると理解することで十分である。)
また、衆生の香、象の香、馬の香、牛羊などの香、男の香、女の香、童子の香、童女の香、および草木や林の香を嗅ぎ分けられるであろう。それが近くても遠くても、あらゆる香をすべて嗅ぎ分けることができ、誤ることはないであろう。
この経を保つ者は、この世にいながら、天上のあらゆる天の香を嗅ぐであろう。波利質多羅(はりしったら)、拘鞞陀羅樹香(くびだらじゅこう)、曼陀羅華香(まんだらけこう)、摩訶曼陀羅華香(まかまんだらけこう)、曼殊沙華香(まんじゅしゃげこう)、摩訶曼殊沙華香(まかまんじゅしゃげこう)、栴檀(せんだん)、沈水(ちんすい)、さまざまな抹香、雑華香など、このような天の香やそれらが混ざり合って放つ香など、嗅ぎ分けられないものなどないであろう。また、あらゆる天の体の香を嗅ぐであろう。釈提桓因(しゃくだいかんにん・=帝釈天)が、立派な御殿の上で、五欲を楽しみ遊戯をしている時の香、あるいは妙法堂(天にあって天的存在たちが集まって論議する場所)の上で、忉利(とうり・帝釈天のいる天の名)のあらゆる天的存在のために説法をする時の香、あるいは、あらゆる園において遊戯する時の香、および他の天の男女の体の香など、みなすべて遠くにあって嗅ぐであろう。
このように順次昇って行き、梵天に至り、天の最も上にいるあらゆる天的存在の体の香や、それらが焚く香も嗅ぐことができるであろう。
および声聞の香、辟支仏の香、菩薩の香、諸仏の体の香なども、みな遠くにあって嗅ぐことができ、その所在も知るであろう。これらの香を嗅いでも、鼻の器官は損なわれることはない。もし他の人々にこのことを説いたとしても、正しく記憶しているため、誤ることはないであろう。」

 

つづく

 

法華経現代語訳