法華経 現代語訳 83

妙法蓮華経 陀羅尼品 第二十六

その時に薬王菩薩は、座より立って、右の肩を現わして合掌し、仏に向かって次のように申し上げた。
世尊よ。もし良き男子や良き女人がいて、法華経を受け保ち、読誦し、深く理解し、経巻を書写するならば、どれほどの福を得るのでしょうか。
仏は、薬王菩薩に次のように語られた。
もし良き男子や良き女人がいて、大河の砂を八百万億倍してさらに一千億倍した数の諸仏を供養したとする。あなたはどう思うか。その得るところの福は多いか少ないか。」
「非常に多いです。世尊よ。」
仏は次のように語られた。
「もし良き男子や良き女人がいて、この法華経のひとつの四句の偈を受け保ち、読誦し、意味を解釈し、説くところに従って修行するとしたら、その功徳はさらに多いのだ。」
その時に薬王菩薩は、仏に次のように申し上げた。
「世尊よ、私は今まさに説法者に陀羅尼呪を与えて、これをもって守護します。」
すなわち、次のように呪を説いた。
「あに、まに、まねい、ままねい、しれい、しゃりてい、しゃみや、しゃびたい、せんてい、もくてい、もくたび、しゃび、あいしゃび、そうび、しゃび、しゃえい、あきしゃえい、あぎに、せんてい、しゃび、だらに、あろきゃばさいはしゃびしゃに、ねいびてい、あべんたらねいびてい、あたんだはれいしゅたい、うくれい、むくれい、あられい、はられい、しゅぎゃし、あさんまさんび、ぼつだびきりじりてい、だるまはりしてい、そうぎゃちりくしゃねい、ばしゃばしゃしゅたい、まんたら、まんたらしゃやた、うろたうろた、きょうしゃりゃ、あきしゃら、あきしゃやたや、あばろ、あまにゃなたや。
世尊よ。この陀羅尼神呪は、大河の砂を六十二億倍した数の諸仏の説くところです。もしこの法師を罵る者がいるならば、すなわち諸仏を罵ることになります。」
その時に釈迦牟尼仏は、薬王菩薩を褒めて次のように語られた。
「良いことだ。良いことだ。薬王菩薩よ。あなたはこの法華経の法師を憐れみ守るために、この陀羅尼を説いた。あらゆる衆生に益となることが多いであろう。」
その時に勇施菩薩は、仏に次のように申し上げた。
「世尊よ。私もまた、法華経を読誦し受け保つ者を守るために、陀羅尼を説きます。もしその法師がこの陀羅尼を得るならば、夜叉や羅刹などの悪しき鬼たちが、その者の短所を求めても、それを見つけ出すことはできないでしょう。」
すなわち仏の前において、呪を次のように説いた。
「ざれい、まかざれい、うき、もき、あれい、あらばてい、ちりてい、ちりたはてい、いちに、いちに、しちに、にりちに、にりちはち。
世尊よ。この陀羅尼神呪は、大河の砂の数ほどの諸仏の所説です。またみなこれを喜ばれます。もしこの法師を罵る者がいるならば、すなわち、この諸仏を罵ったことになります。」
その時に世を守る毘沙門天は、仏に次のように申し上げた。
「世尊よ。私もまた衆生を憐れみ、この法華経の法師を守るために、この陀羅尼を説きます。」
すなわち、呪を次のように説いた。
「あり、なり、となり、あなろ、なび、くなび。
世尊よ。この神呪をもって法師を守ります。また私自らもまさにこの経典を保つ者を守って、広い範囲にわたって、あらゆる憂いや困難がないようにします。」
その時に持国天(じこくてん)は、この会衆の中にあって、千万億をさらに一千億倍した数の乾闥婆(けんだつば・天龍八部衆のひとり)たちを従えて、進んで仏のところに進み出て合掌して、次のように申し上げた。
「世尊よ。私もまた陀羅尼神呪をもって、法華経を保つ者を守ります。」
すなわち、呪を次のように説いた。
「あきゃねい、きゃねい、くり、けんだり、せんだり、まとうぎ、じょうぐり、ふろしゃに、あんち。
世尊よ。この陀羅尼神呪は、四十二億の諸仏の所説です。もしこの法師を罵る者がいるならば、すなわちこの諸仏を罵ったことになります。」
その時に羅刹女(らせつにょ・女性の鬼神)たちがいた。名は藍婆(らんば)、毘藍婆(びらんば)、曲歯(こくし)、華歯(けし)、黒歯(こくし)、多髪(たほつ)、無厭足(むえんぞく)、持瓔珞(じようらく)、皇諦(こうたい)、奪一切衆生精気(だついっさいしゅじょうしょうけ)といい、この十人の羅刹女鬼子母神(きしぼじん)とその子、並びに従者たちと共に仏のところに進み出て、声を同じくして仏に次のように申し上げた。
「世尊よ。私たちもまた、法華経を読誦し受け保つ者を守り、その憂いや困難を除こうと願います。もし、その法師の短所を求める者がいたとしても、それを見つけ出すことはできないでしょう。」
すなわち、仏の前において、呪を次のように説いた。
「いでいび、いでいびん、いでいび、あでいび、いでいび、でいび、でいび、でいび、でいび、でいび、ろけい、ろけい、ろけい、ろけい、たけい、たけい、たけい、とけい、とけい。
私の頭の上に上ったとしても、法師を悩ますことは許しません。あらゆる鬼神たち、あるいは熱病であっても、一日、二日、三日、四日、さらに七日、あるいは常に熱で苦しめる病であっても、あるいは男の形、女の形、男子の形、女子の形、あるいは夢の中であっても、悩ますことを許しません。」
すなわち、仏の前において、詩偈の形で次のように説いた。
「もし私の呪に従わず 説法者を悩ますならば その頭は木の枝のように七つに裂けるであろう 父母を殺す罪のように また不正な油を作る者 升をごまかして商売する者 僧団を分裂させる者のように 重い罰を受けるであろう」
羅刹女たちは、この詩偈を説き終わって、仏に次のように申し上げた。
「世尊よ。私たちはまさに、この身をもって、この経を受け保ち読誦し修行する者を守り、安穏でいることを得させ、あらゆる憂いや困難を離れ、多くの毒を消させます。」
仏は羅刹女たちに次のように語られた。
「良いことだ。良いことだ。あなたたちはよく、法華の名だけを受け保つ者さえ守ろうとする。その福は測ることができない。ましてや、経典を完全に受け保ち、経巻に花や香、瓔珞、抹香、塗香、焼香、飾られた旗や傘、伎楽を供養し、あらゆる尊い妙なる燈火を百千種も灯し、これをもって供養する法師は、この羅刹女たちによって守られるべきである。」
この陀羅尼品を説かれた時、六万八千人がこの世の存在に対する悟りを得た。

つづく

 

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