千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経(前半のみ) その3

観世音菩薩は、次のように詩偈をもって説いた。
「私は、執金剛神、烏樞瑟摩明王(うすしまみょうおう)、軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、鴦倶尸(おうぐし)、八部力士、賞迦羅(しょうぎゃら)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、摩醯首羅(まけいしゅら=大自在天)、那羅延(ならえん)、金剛羅陀(こんごうらだ)、迦毘羅(かびら)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、婆馺娑樓羅(ばそうさるだ)、滿善車鉢眞陀羅(まんぜんしゃはつまだら)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、薩遮(ましゃ)、摩和羅(まわら)、鳩槃荼(くばんだ)、半祇羅(はんぎら)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、畢婆伽羅王(びばからおう)、應徳毘多薩和羅(おうとくびたさわら)を遣わし、陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、梵摩(ぼんま)、三鉢羅(さんぱら)、五部淨居(ごぶじょうご)、炎摩羅(えんまら)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、釋王三十三(しゃくおうさんじゅうさん)、大弁才天女(=弁才天)、功徳天(=吉祥天)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
私は、提頭頼吒王(だいずらたおう)、鬼子母神(きしぼじん)などの大力衆を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、毘樓勒叉王(びるろくしゃおう)、毘樓博叉(びるばくしゃ)、毘沙門天(びしゃもんてん)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、金色孔雀王、二十八部大仙衆を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、摩尼跋陀羅(まにばだら)、散支大將(さんしだいしょう)、弗羅婆(ふらば)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、難陀(なんだ)、跋難陀(ばつなんだ)、婆伽羅龍(ばからりゅう)、伊鉢羅(いはつら)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、修羅(しゅら)、乾闥婆(けんだつば)迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、摩睺羅(まごらか)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。
また私は、水、火、雷、電神、鳩槃荼王(くはんだおう)、毘舍闍(びじゃや)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。

(注:一般的に、千手観音には二十八部衆の眷属がいるとされるが、ここにあげられた名は、二十八をはるかに超えている。つまり、あらゆる仏教を守る善神すべてと解釈すべきである。)

この諸善神および神龍王、鬼子母神たちには、各々五百の眷屬があります。大力の夜叉は、常に大悲神呪を読誦し保つ者に従って擁護します。その人がもし寂しい山や広野にあって、ひとりで野宿する時は、この諸善神が代わる代わる宿衞して、災障を除きます。もし深い山にあって道に迷った時は、この呪を読誦することにより、善神龍王が善人となってその正しい道を教えます。もし山林や広野にあって、水がなくなり、暖を取る火がない時は、龍王が水や火を出して守るでしょう」。
観世音菩薩は、また読誦し保つ者のための「消除災禍清涼の偈」を次のように説いた。
「もし広野や山や沢の中に行き、虎狼、諸悪獸、蛇、魑魅魍魎にあっても、この呪を読誦するならば、それらは害を与えることはない。
もし大河、湖、大海の間を行き、毒龍、蛟龍(こうりゅう)、摩竭獣(まかじゅう)、夜叉、羅刹、魚黿鼈(ぎょげんべつ)にあっても、この呪を読誦するならば自ら退散する。
もし軍陣にあって敵に囲まれたり、あるいは悪人に財宝を奪われそうになったりしても、至心に大悲呪を唱えれば、敵や悪人も慈心を起こして元来た道に去って行く。
もし王や役人に捕らえられ、身を拘束され、監禁され、鎖につながれようとも、至心に大悲呪を唱えれば、役人たちは自ら恩赦を与えて釈放する。
もし毒殺しようとする者が家に入り、飲食物に毒を入れられても、至心に大悲呪を唱えれば、その毒藥は変じて甘露水となる。
女人が難産となり、さらに邪悪な魔が働いて耐え難い苦しみとなっても、至心に大悲呪を唱えれば、鬼神は退散して安楽に生むことができる。
悪龍や病の鬼が毒気を放ち、熱病に侵され命が終わろうとする時、至心に大悲呪を唱えれば、疫病は消滅し寿命は長くなる。
龍鬼があらゆる毒腫を流行させ、癰瘡膿血(ようそうのうけつ・腫物と膿)が痛んで耐え難い時、至心に大悲呪を唱えれば毒腫はすぐに消える。
悪しき衆生が不善を起こし、呪い、呪詛し、恨みを増し加える時、至心に大悲呪を唱えれば、その呪いは呪った本人に向かう。
末世となって教えが滅び、世が乱れて人々が欲のままに心が迷い、昼夜を通して家を顧みず、しかも留まることを知らない時、もし大悲呪を唱えれば、淫らな欲望の火は滅んで邪心はなくなる。
もし私がこの呪の功徳力を称賛するならば、一劫(いっこう・ほぼ永遠に近いほどの長い時間)の間、称賛し続けても尽きることはないであろう」。

 

つづく

 

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