大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2023-08-07から1日間の記事一覧

『摩訶止観』抄訳 その3

『摩訶止観』巻第五の上 「観不可思議境」の段より 一心に十法界(じっぽうかい・地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天、声聞、縁覚、菩薩、仏という人が経るところの十種の世界)が具わっている。各一法界にまた他の十法界が具(そな)わっていれば、百法界であ…

『摩訶止観』抄訳 その2

『摩訶止観』巻第三の上 「止観の名義」の段より 第二章 止観の名義 第二章として、止観の名称を解釈する。止観についての大意はすでに説いた。ではまたどのような意義をもって、止観の名称を立てるのか。これには概略的に四つある。 一つめは相待(そうだい…

『摩訶止観』抄訳 その1 

『摩訶止観』巻第一の上 「三種の止観」の段より (注:見出しは訳者が便宜上付ける) 〇三種の止観 天台智者大師は南岳慧思禅師より三種の止観を伝えられた。一つは漸次止観(ぜんじしかん)、二つは不定止観(ふじょうしかん)、三つは円頓止観(えんどん…

『摩訶止観』抄訳 はじめに

『摩訶止観』抄訳 はじめに 『摩訶止観』を抄訳する理由 先に完訳した『法華玄義』では、『法華経』がすべての経典を総括するということが、一定の理論体系をもって、最初から最後まで一貫して述べられている。そのため、その範囲は広大であって、その論理は…