大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

法華玄義 現代語訳 173

『法華玄義』現代語訳 173 第五項 喩えについて ここで、三つの喩えをもって、体についての正しい見解と誤った見解を明らかにする。そしてそれに兼ねて、開合・破会などの意義についても述べる。 まず、三種の獣がいたとする。その獣たちが河を渡る際、同…

法華玄義 現代語訳 172

『法華玄義』現代語訳 172 第四項 偏った教えについて あらゆる大乗経典において、声聞と縁覚の二乗の人と同じように、方便を帯びて説く者の言葉が記されているが、それは名称が同じであるので、その意義についての解釈は注意して分別しなければならない…

法華玄義 現代語訳 171

『法華玄義』現代語訳 171 第二節 広く誤った解釈をあげる 経典の正しい体は玄妙を絶しており、容易に知ることはできない。また、誤った教えや未熟な教えは、正しく完全な教えを乱す。たとえば、魚の目が真珠の中に入ったら紛らわしくなるようなものであ…

法華玄義 現代語訳 170

『法華玄義』現代語訳 170 第二項 体を述べる意義について そもそも、体を述べる意義とは何か。『大智度論』に、「あらゆる小乗の経典は、もし無常、無我、涅槃の三つの項目をあげて小乗の印とするならば、すなわちそれは仏の教えである。そしてこれにそ…

法華玄義 現代語訳 169

『法華玄義』現代語訳 169 第二章 顕体 第二に「顕体(けんたい)」とは(注:最初の「五重玄義」の項目があげられている箇所では、「弁体(べんたい)」となっていたが、ここでは「顕体」となっているので、それに従う)、前の「釈名」では総合的に説い…

法華玄義 現代語訳 168

『法華玄義』現代語訳 168 第五目 観心をもって経を明らかにする 以上述べてきたことに基づいて、四つの項目(第一は無翻の立場において。第二は有翻の立場において。第三は有翻と無翻を融合する立場において。第四は法を経る立場において)において観心…

法華玄義 現代語訳 167

『法華玄義』現代語訳 167 墨の色が経であることが、法の本とするということは、次の通りである。もし墨の文字において瞋恚を生じれば、他者の寿命を断じる。もし墨の文字において愛(注:あくまでも仏教的意味で執着のこと)を起こして、盗みや姦淫をし…

法華玄義 現代語訳 166

『法華玄義』現代語訳 166 第四目 法によって経を明らかにする もし経という言葉を正しい翻訳の言葉とするならば、どのような法が経なのであろうか。古い解釈に三種ある。一つめは、声をもって経とする。仏は世にあって、尊い金口(こんく)をもって教え…