大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2020-01-01から1年間の記事一覧

阿弥陀経 現代語訳

阿弥陀経 このように私は聞いた。 ある時、仏は、舎衛国(しゃえこく)の祇樹給孤独園(ぎじゅぎっこどくおん=祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)・釈迦の教団の代表的道場)において、千二百五十人の大いなる僧侶たちと共におられた。みな大いなる聖者であり、…

一切如來心祕密全身舍利寶篋印陀羅尼経 その3 (完)

その時、金剛手菩薩は仏に次のように申し上げた。「世尊よ。もしある人がこの経典を書写して、塔の中に安置するならば、どのような福を得ることができましょうか」。仏は金剛手菩薩に次のように語られた。「もし人がこの経典を書写して、塔の中に安置するな…

一切如來心祕密全身舍利寶篋印陀羅尼経 その2

その時、仏は金剛手菩薩に次のように語られた。「この塔は、数えきれないほどのすべての如来の舎利(しゃり・仏の遺骨)が、まるで胡麻のように集まってできている。まさに、真理である心陀羅尼(しんだらに)の教えの要(かなめ)が、今この中にある。金剛…

一切如來心秘密全身舍利寶篋印陀羅尼経 その1

一切如來心祕密全身舍利寶篋印陀羅尼経 大廣智大興善寺三藏沙門 不空(ふくう) 詔(みことのり)により訳す (注:『一切如來心秘密全身舍利寶篋印陀羅尼経(いっさいにょらいしんひみつぜんしんしゃりほうきょういんだらにきょう)』は、『一切如來心秘密…

仏頂尊勝陀羅尼経 その4(完)

その時、世を護る大いなる四天王は、仏の周りを三周回ってから、仏に次のように申し上げた。「世尊よ。ただ願わくは如来よ。私たちに陀羅尼を保つ教えを説いてください。」その時、仏は四天王に次のように語られた。「あなたは今、よく聞くがよい。私はあな…

仏頂尊勝陀羅尼経 その3

仏は帝釈天に次のように語られた。「私はこの陀羅尼を説いて、あなたに付嘱(ふぞく・師から弟子へと教えを委ねること)する。あなたはまさに、善住天子に授与すべきである。またあなた自身もまさに受け保ち読誦し教え、この陀羅尼について考え、愛し願い、…

仏頂尊勝陀羅尼経 その2

その時、帝釈天は仏に次のように申し上げた。「世尊よ。ただ願わくは如来よ。衆生のために、寿命を増す教えを説いてください」。その時、世尊は帝釈天の心の中で、この陀羅尼の教えを聞くことを願っていることを知り、次のように呪を説かれた。 (注:陀羅尼…

仏頂尊勝陀羅尼経 その1

仏頂尊勝陀羅尼経 鬮賓国(けいひんこく)の沙門(しゃもん=僧侶)仏陀波利(ぶっだはり)、詔(みことのり)により訳す (注:『仏頂尊勝陀羅尼経(ぶっちょうそんしょうだらにきょう)』は、『仏頂尊勝陀羅尼(ぶっちょうそんしょうだらに)』について述べら…

薬師瑠璃光如来本願功徳経 現代語訳(最初の部分のみ)

薬師瑠璃光如来本願功徳経(やくしるりこうにょらいほんがんくどくきょう) 私はこのように聞いた。ある時、仏は諸国を歩き広厳城(こうごんじょう)に入り、楽音樹(がくおんじゅ)の下に留まられた。大いなる修行者八千人と共におられた。そして、大いなる…

千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経(前半のみ) その5

(注:ここまでは、観世音菩薩が仏に申し上げたり、また梵天に語ったりする流れであったが、ここからは、仏が弟子の阿難に語る形となる。そして文章の内容も、ここまでとは異なった説法の場を思わせる流れとなる。) 仏は阿難に次のように語られた。「もし国…

千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経(前半のみ) その4

その時、観世音菩薩は梵天に次のように言った。「この呪を五遍読誦し、五色のひもをもって縄を作り、二十一遍呪して二十一の縄を結び付けて頭に掛けなさい。この陀羅尼は、大河の砂の数を九十九億倍した数の過去の諸仏の所説です。その諸仏はさまざまな修行…

千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経(前半のみ) その3

観世音菩薩は、次のように詩偈をもって説いた。「私は、執金剛神、烏樞瑟摩明王(うすしまみょうおう)、軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、鴦倶尸(おうぐし)、八部力士、賞迦羅(しょうぎゃら)を遣わし、常に陀羅尼の受持者を擁護しよう。また私は、摩…

千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経(前半のみ) その2

また観世音菩薩は、仏に次のように申し上げた。「世尊よ。あらゆる人や天が大悲心呪を読誦し保つならば、十五種類の善い生を得ることができます。そして、十五種類の悪い死を受けません。その悪い死とは次の通りです。一つ、飢え苦しみによって死ぬことはな…

千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経(前半のみ) その1

千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経 唐西天竺沙門 伽梵達摩(がぼんだつま)訳 (注:『千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経(せんじゅせんげんかんぜおんぼさつこうだいえんまんむげだいひしんだらにきょう)』は、「千手千眼観世音菩…

金光明最勝王経 大弁才天女品 第十五 (抜粋)

金光明最勝王経 大弁才天女品 第十五 (抜粋) 福徳に満ちた天女を敬い拝します。あなたはこの世の中において自在を得ています。私は今尊者を讃嘆します。すべて昔の仙人の語った通りになるでしょう。福徳は成就して心は安隱であり、聡明であられることは恐…

撰時抄 その18 (完)

問う:昔、このように言った人はあるだろうか。 答える:伝教大師は、「まさに知るべきである。他宗の拠り所とする経典は第一の経典ではない。したがって、その第一ではない経典を持つ者もまた、第一ではない。天台法華宗は拠り所とする経典が第一である。そ…

撰時抄 その17

問う:二つめにあげた文永八年九月十二日の時(注:龍口法難の前日、平頼綱に捕らえられ尋問される)は、どうして、日蓮を失えば自国でも他国からも、戦いが起こるとわかったのか。 答える:『大集経』に「もしまたあらゆる国の支配階級である国王が、あらゆ…

撰時抄 その16

問う:何をもってこのことを信じるか。 答える:『最勝王経』に「悪人を敬愛し、善人を罰するために、天体の運行や気候が正常ではなくなる」とある。この経文の意味は、国に悪人がいるにもかかわらず、王や大臣がこの悪人に帰依するということに間違いない。…

撰時抄 その15

亡国の悲しさと亡身の嘆かわしさに、身命を捨ててこのことを表わしてきた。そして、これからも表わそうではないか。国主ならば、世を保つために私の指摘に驚いて、もっと詳しく聞きに来なければならないはずなのに、ただ、他人を貶める言葉だと受け取って、…

撰時抄 その14

質問して言う:『法華経』が真言より勝るとする人は、この解釈をどうすべきか。用いるべきか。あるいは捨てるべきか。 答える:釈迦は、これからの僧侶の姿勢について、「教えによるのであり、人によるのではない」と言っている。竜樹菩薩は、「経典によれば…

撰時抄 その13

これよりも百千万億倍、信じられないような最大の悪事がある。慈覚大師(じかくだいし・円仁(えんにん)。伝教大師最澄の弟子。唐に渡り、その9年間の旅の記録を『入唐求法巡礼行記(にっとうぐほうじゅんれいこうき)』として記し、その書物は世界三大旅…

撰時抄 その12

弘法大師は、同じ延暦年中に唐に渡り、青竜寺の慧果に師事して真言宗を学んだ。帰国後、釈迦の説かれたすべての経典の優劣を判断して、第一に真言、第二に華厳、第三に法華と説いた。この大師は世間の人々も大変尊敬する人である。ただし、仏教における功績…

撰時抄 その11

真言宗という宗派は、上の二つに比べ物にならないくらい、大きな誤りのある宗派である。これからそれについて述べよう。 いわゆる中国唐の玄宗皇帝の時代に、善無畏三蔵、金剛智三蔵、不空三蔵は、『大日経』や『金剛頂経』や『蘇悉地経(そしつじきょう・い…

撰時抄 その10

問う:それでは、その秘めた教えとは何か。まずその名を聞き、次にその意味を聞こうと思う。このことがもし事実なら、釈迦が再びこの世に現われるのだろうか。『法華経』で説かれる上行菩薩が、再び地より涌き出るのであろうか。早々に慈悲を下されたい。玄…

撰時抄 その9

問う:伝教大師は日本国の人である。桓武の天皇の御世に現われて、欽明天皇より二百年あまりの間の誤った教えを破り、天台大師の完全な智慧と完全な禅定を広めるばかりではなく、鑑真和尚の広めた日本の小乗の三所(奈良東大寺、太宰府観世音寺、下野薬師寺…

撰時抄 その8

質問して言う:(注:この質問の内容は非常に長いので、どこまで質問なのか、見誤らないように注意が必要)。正法一千年間の論師たちは、内心では『法華経』で明らかにされている真理が、顕教や密教の諸経典に超過していることを知っていながら、外には説か…

撰時抄 その7

質問して言う:たとえ正法の時は、仏が世におられた時に比べれば、人々の能力は劣っていると言っても、像法や末法の時に比べれば、最上の能力を人々は持っているということになるではないか。ではなぜ、正法の始めから『法華経』が用いられなかったのか。馬…

撰時抄 その6

今は、末法に入って二百年あまりが過ぎた。 (注:先にも述べたように、日蓮上人当時の日本では、釈迦が死んだのは、西暦紀元前949年とされていた。したがって、最終的な時代である末法(まっぽう)は、釈迦の死後二千年後に始まるのであるから、平安時代…

撰時抄 その5

像法に入って四百年あまり過ぎたころ、朝鮮半島の百済国より、すべての経典と釈迦の仏像と僧侶などが渡って来た。それは中国では梁の末から陳の始めに当たる。日本においては、初代天皇である神武天皇より第三十代の欽明(きんめい)天皇の時代である。欽明…

撰時抄 その4

正法一千年の後は、月氏(げっし・インド西北部の国。クシャーナ朝などと呼ばれ、特にカニシカ王が仏教に帰依したことは有名。その結果、シルクロードを通ってもたらされたヘレニズム文化と仏教文化が合流し、ガンダーラ地方に仏教文化が栄え、仏像などが初…