大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

法華玄義 現代語訳  71

『法華玄義』現代語訳 71 第五.判 諸智を解釈するにあたっての第五は判(はん)であり、二十智について麁と妙を判別することである。 前半の十二智(①世智、②五停心・四念処の智、③四善根の智、④四果の智、⑤支仏の智、⑥六度の智、⑦体法声聞の智、⑧体法支…

法華玄義 現代語訳  70

『法華玄義』現代語訳 70 第四.照 諸智を解釈するにあたっての第四は照(しょう・智慧をもってその対象を観じること。智慧を光に喩えるので照らすと表現される)である。もし智によって境を照らし、境によって智を発するならば、有(すべての実在には実体…

法華玄義 現代語訳  69

『法華玄義』現代語訳 69 (注:③「四善根の智」が終り、これより④「四果の智」から最後の⑳「妙覚の智」までとなるが、この箇所の記述は非常に簡潔である)。 ④四果(しか)の智とは、四善根に続く同じ蔵教の段階であり、初果は八忍八智(前述の十六心の別…

法華玄義 現代語訳  68

『法華玄義』現代語訳 68 〇忍法について その1.下忍 次に忍法の観心について述べる。正しく欲界の苦諦と、色界(しきかい・欲望がなくなり、物質的存在と精神的活動があるとする次元)と、無色界(むしきかい・物質的存在もないことがわかり、精神的活…

法華玄義 現代語訳  67

『法華玄義』現代語訳 67 第三.相 諸智を解釈するにあたっての第三は、相(そう)である。諸智の具体的姿(相)について解説することである。 ①世智 インドにおけるこの世での最高の智慧は非想(ひそう)と呼ばれる。それは微弱な想念しかない世界とされ…

法華玄義 現代語訳  66

『法華玄義』現代語訳 66 ②.智妙 第二に、「智妙」について詳しく述べるにあたって、究極的真理は玄妙であり、智慧によらなければ表わされることがないと知らねばならない。智慧はそれをよく知るが、その対象である境が円融していなければ智慧も円融しな…

法華玄義 現代語訳  65

『法華玄義』現代語訳 65 ◎一実諦との比較 次に、一実諦(=一諦)と十如是を比較すると、一つ一つの法界の十如是は、互いに他の十法界を備える。したがって、すべてが一実諦とすることができるのだが、あえて九法界を捨てることができたとしても、仏法界…

法華玄義 現代語訳  64

『法華玄義』現代語訳 64 ◎五種の三諦と十如是 五種の三諦(注:二諦は七種類であったが、三諦は俗諦と真諦に加えて中諦があり、蔵教と通教では中道は説かないので、最初からそれを除外して五種類となる)と十如是を比較すると、まず別入通教・円入通教の…

法華玄義 現代語訳  63

『法華玄義』現代語訳 63 ◎四種の四諦と十如是 四種の四諦と十如是を比較すると、まず生滅の四諦と無生の四諦の苦諦と集諦は、ただ迷いの世界に存在するだけの六道の十如是である。如是相・如是性は苦の根本原因であるから集諦に当たり、如是体は苦の表わ…

法華玄義 現代語訳  62

『法華玄義』現代語訳 62 b.諸境の同異を述べる 次に、ここまで述べて来た諸境の同異を述べる。またその比較において十如是を用いる。なぜなら、『法華経』の「方便品」で十如是を讃えているからである。このように十如是を用いて、すでに述べて来たとこ…

法華玄義 現代語訳  61

『法華玄義』現代語訳 61 第五.三諦 諸境についいて詳しく述べるにあたっての第五は「三諦の境」である。この言葉の意味するところは、あらゆる経典に記されているが、この名称としては、『瓔珞経』と『仁王般若経』にある。有諦・無諦・中道第一義諦とい…

法華玄義 現代語訳  60

『法華玄義』現代語訳 60 ◎二諦について麁を開いて妙を表わす 過去・現在・未来の三世の如来は、衆生が仏の知見を開き、すべては生じることはない、という悟り(無生法忍)を得させようという偉大な目的をもって世に出現するのである。『法華論(ほっけろ…

仏説摩訶迦羅大黒天神大福徳自在円満菩薩陀羅尼経 現代語訳

仏説摩訶迦羅大黒天神大福徳自在円満菩薩陀羅尼経(ぶっせつまかきゃらだいこくてんじんだいふくとくじざいえんまんぼさつだらにきょう) その時、如来は大衆に次のように語られた。 「今、この大会(だいえ)の中に大菩薩がいる。名は大福徳自在円満菩薩と…

法華玄義 現代語訳  59

『法華玄義』現代語訳 59 ◎二諦について麁と妙を判別する 蔵教である実有の二諦は不完全な法門である。能力の低い人に対して、誤った見解の汚物を除去させるものであり、俗諦と真諦があくまでも異なっているので二諦の義は成立していない。このような教え…

法華玄義 現代語訳  58

『法華玄義』現代語訳 58 ◎二諦について解説する 正しく二諦を解説するにあたって、まず概略的に一言で述べるならば、法の本質を指して真諦とし、無明から生じる十二因縁を俗諦とすれば、意義的に充分である。しかし、人の心は荒々しく浅く、深い妙である…

法華玄義 現代語訳  57

『法華玄義』現代語訳 57 第四.二諦 諸境についいて詳しく述べるにあたっての第四は「二諦の境」である。 この二諦について述べるにあたって、四つの項目を設ける。一つめは、概略的にあらゆる二諦についての意味をあげる。二つめは、二諦について解説す…

法華玄義 現代語訳  56

『法華玄義』現代語訳 56 ◎四諦について麁と妙を判別する 大乗と小乗の真理の教え(諦)について述べることにおいて、この四諦の他はない。教え(教)と修行(行)と悟り(証)の「教行証」が別々であるものは麁であり、教だけが一つとなっていて、行と証…