2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧
『法華経』現代語訳と解説 その29 また文殊菩薩よ(注1)。大いなる菩薩が、後の末の世の、教えが滅びようとしている時に『法華経』を受持する者は、在家、出家の人の中において、大いなる慈しみの心を起こし、菩薩ではない人の中において、大いなるあわ…
守護国家論 現代語訳 06 問う:上にあげたところの曇鸞・道綽・善導・慧心などの諸師は、みな法華・真言などの諸経に対しては、末代不相応だとの解釈をしている。これによって、源空ならびに、その教化を受けた弟子たちは、法華・真言を雑行として難行道と…
『法華経』現代語訳と解説 その28 妙法蓮華経安楽行品第十四 その時、文殊菩薩は仏に次のように申し上げた。 「世尊よ。この多くの菩薩たちは大変尊い者たちです。仏を敬い従うために、大いなる誓願を立てました。後の悪しき世において、この『法華経』を…
守護国家論 現代語訳 05 第二章 全体を七門に分けた第二として、正法・像法・末法の時代に関して、仏法の興廃を明らかにする。そしてここでは、さらに二節ある。一節として、『法華経』以前の四十余年の間に説かれた諸経と「浄土三部経」との、末法におけ…
守護国家論 現代語訳 04 第一章 第四節 第四に、権教を捨てて実教に就くべきことを明らかにする。 問う:その証文は何か。 答える:十の証文がある。『法華経』には、「ただ大乗経典を受持することを願って、他の経の一偈をも受けないようにせよ」。これが…
守護国家論 現代語訳 03 第一章 第二節 第二に諸経の浅深を明らかにする。 『無量義経』には、「初めに四諦を説き、阿含、次に方等十二部経・摩訶般若・華厳海空を説き、菩薩の修行の経る過程を述べる」とある。また、「四十余年には未だ真実を顕わさず」…
守護国家論 現代語訳 02 第一章 全体を七門に分けた第一として、如来の経典の教えには、権実二教が定められていることを明らかにする。そしてさらにここでは、四節に分ける。第一節は、釈迦一代の経典の分類であり、第二節は、諸経の教えの浅深を明らかし…
守護国家論 現代語訳 01 守護国家論 正元元年(1259) 三十八歳 (注:『守護国家論』は、日蓮上人の初期の代表的な著作であり、これをもとに、翌年、『立正安国論』が記されて、幕府に奏上された。しかし、それをきっかけに、日蓮上人に対する迫害が…
『法華経』現代語訳と解説 その27 妙法蓮華経勧持品第十三 その時に薬王菩薩摩訶薩と大楽説菩薩摩訶薩は、二万の付き従う菩薩たちと共に、みな仏の前において、次のように誓って言った。 「ただ願わくは世尊よ。ご心配なさらないように。私たちは仏の滅度…
『法華経』現代語訳と解説 その26 妙法蓮華経提婆達多品第十二 その時に仏は、多くの菩薩および天や人や僧侶や尼僧や男女の在家信者たちに、次のように語られた。 「私は、過去の無量の劫の中において、『法華経』を求めることに、たゆむことはなかった。…
『法華経』現代語訳と解説 その25 その時に釈迦牟尼仏は、分身の諸仏がみな集まり、それぞれの獅子座に着いたことをご覧になり、そして諸仏が同じく、宝塔を開くことを願っていることを聞かれ、すぐに座より立って、空中に上りそこに留まられた。すべての…
『法華経』現代語訳と解説 その24 妙法蓮華経見宝塔品第十一 その時、仏の前に七宝の塔があった。高さは五百由旬、縦と横の広さは二百五十由旬である。地より涌出して空中に留まった。その塔は、あらゆる種類の宝物をもって飾られていた。五千の欄干があっ…
『法華経』現代語訳と解説 その23 妙法蓮華経法師品第十 その時に世尊は、薬王菩薩をはじめ、八万人の菩薩たちに次のように語られた(注1)。 「薬王よ。あなたはこの大衆の中の、多くの天、魔、人および僧侶、尼僧、男女の在家信者、そして、声聞を求め…
『法華経』現代語訳と解説 その22 妙法蓮華経授学無学人記品第九 その時、阿難(あなん)と羅睺羅(らごら)は、このように思った。 「私たちも記が授けられれば、どんなにうれしいことだろう。」 すぐに阿難と羅睺羅は座より立って、仏の前に進み、頭を仏…
『法華経』現代語訳と解説 その21 妙法蓮華経五百弟子受記品第八 その時に富楼那弥多羅尼子(ふるなみたらにし・注1)は、仏からこの智慧と方便について詳しく説かれた説法を聞き、さらに、多くの大弟子に、阿耨多羅三藐三菩提を得るという記が授けられた…
『法華経』現代語訳と解説 その20 多くの僧侶たちよ。私はこのように沙弥であった時、無量百千万億の大河にある砂の数ほどの多くの衆生を教化した。私に従って教えを聞いた衆生は、阿耨多羅三藐三菩提を得るように導かれたのである。この多くの衆生は、今…
『法華経』現代語訳と解説 その19 その時、大通智勝如来は、十方の梵天王をはじめ、十六王子の願いを受け、四諦と十二因縁の教えを説いた(注1)。僧侶や婆羅門、あるいは天、魔、梵天および他の世の人が説くことのできない教えである。 四諦は次の通りで…
『法華経』現代語訳と解説 その18 また僧侶たちよ。東南方の五百万憶の国土のあらゆる梵天王は、各々の宮殿が、まばゆいばかりの光明に包まれ、今までになかったほど光輝いていることを見て、躍り上がるほど喜んだ。このため、多くの梵天王が互いに集まっ…
『法華経』現代語訳と解説 その17 妙法蓮華経化城喩品第七 仏は多くの僧侶たちに次のように語られた。 「昔、無量無辺不可思議阿僧祇劫の過去に、仏がいた。大通智勝如来(だいつうちしょうにょらい)といい、供養を受けるべき方であり、遍く正しい知識を…
『法華経』現代語訳と解説 その16 妙法蓮華経授記品第六 その時、世尊はこの偈を説き終って、多くの大衆に次のように語られた。 「私の弟子の摩訶迦葉は、未来世において、三百万憶の諸仏世尊に仕え、供養し師事し敬い讃嘆して、広く諸仏の無量の大いなる…
『法華経』現代語訳と解説 その15 妙法蓮華経薬草喩品第五 その時世尊は、摩訶迦葉(まかかしょう)および多くの大弟子たちに、次のようにおっしゃった。 「良いことだ。良いことだ。迦葉よ。よく如来の真実の功徳について説いたものだ。誠にその通りであ…
『法華経』現代語訳と解説 その14 この時、摩訶迦葉は再びこのことを述べようと、偈をもって次のように語った。 私たちは今日 仏の教えを聞き 歓喜踊躍して 未曾有のことを得た 仏は声聞も仏になるということを説かれた 無上の大きな宝を 求めていないにも…
『法華経』現代語訳と解説 その13 妙法蓮華経信解品第四 その時、須菩提(しゅぼだい)と摩訶迦旃延(まかかせんねん)と摩訶迦葉(まかかしょう)と摩訶目揵連(まかもっけんれん)は、仏から聞いた驚くべき教えと、世尊が舎利弗に最高の悟りを開いて仏と…
『法華経』現代語訳と解説 その12 舎利弗よ 私は衆生のために この譬喩をもって 一仏乗を説く あなたたちがもしよく この言語を信じ受ければ まさにそのすべての者は 仏道を成就することができるのだ この一仏乗は微妙であり 清浄第一であり 多くの世にあ…
『法華経』現代語訳と解説 その11 仏は重ねてこの義を述べようと、偈をもって語られた。 たとえばある長者に 一つの大邸宅があった その家は古く壊れかけており 建物は高く危うく 柱の土台は腐り 梁や棟は傾き歪み 土台の石は崩れ砕 塀や壁は破れ裂け 泥壁…
『法華経』現代語訳と解説 その10 仏は舎利弗に次のように語られた。 「その通りだ、その通りだ。あなたが言う通りである。舎利弗よ。如来また同様である。すなわち仏はすべての世間の人々の父である。あらゆる怖れ、悩み、憂い、無知、不快などを永遠に尽…
『法華経』現代語訳と解説 その9 その時、僧侶と尼僧と男女の在家信者、天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽などの大衆は、舎利弗が仏前において阿耨多羅三藐三菩提の記を受けるのを見て、心は大に歓喜し踊躍すること測り知れなかった…
『法華経』現代語訳と解説 その8 その時、仏は舎利弗に次のように語られた。 「私は今、天、人、出家者、婆羅門たちの大衆の中において語る。私は昔、かつて二万億の仏のもとにおいて、あなたを究極の悟りのために常に教化した。あなたは長い間、私に従って…
『法華経』現代語訳と解説 その7 妙法蓮華経譬喩品第三 その時、舎利弗は踊躍(ゆやく)歓喜して、すぐに座より立って合掌し、尊い仏を仰いで次のように申し上げた。 「今、世尊に従いこの法の教えを聞いて、未曾有のことと心躍りました。なぜならば、私は…