大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

法華玄義 現代語訳  55

『法華玄義』現代語訳 55 ○無生の四諦 これは、真理から迷い出る程度が軽いために、理法に基づいて名付けられた名称である。苦諦に逼迫がなく、集諦に多くの執着なく、道諦に相対するものはなく、滅諦に生滅の相はない。また、苦そのものは空であるという…

法華玄義 現代語訳  54

『法華玄義』現代語訳 54 第三 四諦 諸境についいて詳しく述べるにあたっての第三は四諦の境である。 この四諦について述べるにあたって、四つの項目を設ける。一つめは、四諦について解説する。二つめは、麁と妙を判別する。三つめは、麁を開いて妙を表わ…

法華玄義 現代語訳  53

『法華玄義』現代語訳 53 ◎十二因縁について麁と妙を判別する 因縁の境には麁と妙の区別はない。境に対する教えにおいて、浅深の違いがある。 ○四教において ①蔵教 まず、無明から行が生じ、老死まで生じさせるという蔵教の教えについて見る。無明と愛・取…

法華玄義 現代語訳  52

『法華玄義』現代語訳 52 ②思議不生不滅の十二因縁 第二の思議不生不滅の十二因縁は、通教の教えであり、前に説いた蔵教の教えである思議生滅の十二因縁を更新するものである。『中論』に「能力の高い弟子のために十二因縁が不生不滅であることを説く」と…

法華玄義 現代語訳  51

『法華玄義』現代語訳 51 ①思議生滅の十二因縁 (注:人間の思考方法で理解できるので、「思議」という。これに対する言葉が「不思議」である)。 『中論』に「能力の劣った者のために、十二因縁の生滅の相を説く」とある。これは仏教以外の宗教である外道…

法華玄義 現代語訳  50

『法華玄義』現代語訳 50 D.広解(迹門の十妙の各項目について詳しく述べる) (注:前に、『法華玄義』において「迹門の十妙」と「本門の十妙」の箇所が最も長い分量を占め、それは『法華玄義』全体の約半分にもなることを述べたが、その中心が「迹門の…

法華玄義 現代語訳  49

『法華玄義』現代語訳 49 B.引証(迹門の十妙の各項目について経文を引用しながら論証する) 迹門の十妙の各項目について経文を引用しながら論証するにあたって、ただ『法華経』の迹門の文(もん)を引用するのみであり、本門の文は引用しない。ましてや…

法華玄義 現代語訳  48

『法華玄義』現代語訳 48 第二目 詳細に述べる 妙について詳細に述べるにあたって、大きく分けて三つの見方がある。それは、「迹門の十妙」と「本門の十妙」と「観心の十妙」である。 (注:これより、「妙」について詳しく述べる箇所となるが、この箇所の…

法華玄義 現代語訳  47

『法華玄義』現代語訳 47 Ⅱ.絶待妙 絶待妙について述べるにあたって、蔵教・通教・別教・円教に応じて四つの項目を立てる。 第一に、人の能力の性質に応じて、さまざまに生じる仮(け)の教えは、そのような教えをもって真諦(しんたい・真理の境地を指す…

法華玄義 現代語訳  46

『法華玄義』現代語訳 46 第三項 妙について述べる 第一章第二節で述べられた通り、先に「法」について述べたので、次に「妙」について述べる。 (注:ここまでは「妙法」の「法」について先に述べられてきたが、ここからは「妙」の解釈となる)。 妙につ…

法華玄義 現代語訳  45

『法華玄義』現代語訳 45 第二目 仏法について 詳しく仏法について述べると言っても、そもそも仏に別の法があるだろうか。先にあげた百法界・千如是は仏の境界である。ただ仏と仏だけがこの真理を究めるのである。箱が大きければ、その蓋も従って大きいよ…

法華玄義 現代語訳  44

『法華玄義』現代語訳 44 〇あらゆる視点からまとめる 仏界について述べれば、九または十である。広く言えば、あらゆる所にさまざまな仏の働きがある。仏の福徳を因として、無明を縁として、それによる果と報果がある。十如是をすべて備えている。『法華経…

法華玄義 現代語訳  43

『法華玄義』現代語訳 43 〇第二に、人、天の十如是について述べる 人と天が、前に述べた地獄、餓鬼、畜生、阿修羅の四趣と異なるところは、善や楽という言葉があるというところだけである。相は清らかな次元を表わし、性は黒に対する白ということで表現で…

法華玄義 現代語訳  42

『法華玄義』現代語訳 42 ◎次に十如是の法について述べる。 初めに概略を述べ、次に詳細を述べる。 〇十如是の法について概略を述べる。 十如是の最初の如是相(にょぜそう)の相とは、いわゆる外見による言葉である。見てわかる事柄なので相、つまり姿や…

法華玄義 現代語訳  41

『法華玄義』現代語訳 41 Ⅱ.法相 この十法界の一つの一法界に十如是が備わっているので、十法界全体では、百如是が備わっていることになる。さらに、一法界の一つ一つの法界に、他の九法界が備わっているので百法界となり、千如是となる。 (注:これは原…

法華玄義 現代語訳  40

『法華玄義』現代語訳 40 次に、十如是について権実を判断する。 光宅寺法雲は、十如是の前の五つの如是を権として、凡夫に属することだとしている。そして、次の四つの如是を実として、悟りを開いた聖人に属することだとしている。最後の一つの如是が権と…

法華玄義 現代語訳  39

『法華玄義』現代語訳 39 第二項 法について詳細に述べる (注:法について概略的に述べられたので、それに続いて、法について詳細に述べられる)。 第一目 衆生法について さらに詳しく衆生法・仏法・心法の三法について述べる。まず衆生法について述べる…

法華玄義 現代語訳  38

『法華玄義』現代語訳 38 第二目 法について (注:妙について概略的に述べられたので、それに続いて、法について概略的に述べられる。仏教において法とは、法律というような意味はなく、真理、事実、実在、ある事柄についての教えなど、大変広い意味で用…

法華玄義 現代語訳  37

『法華玄義』現代語訳 37 第四節 正しく解釈する (注:ここから、釈名の本論とも言うべき、天台大師の解釈が記されることとなる。それは「妙」「法」「蓮華」「経」の四項目である。前の「第二節 前後を定める」においては、「妙」よりも「法」を先に述べ…