大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

法華玄義 現代語訳 144

『法華玄義』現代語訳 144 ⑩.功徳利益妙 迹門の十妙の第十に、功徳利益妙(くどくりやくみょう)について述べる。功徳と利益は一つであり、異なることはない。もし分別すれば、自らを益とすることを功徳と名付け、他の人を益とすることを利益と名付ける…

法華玄義 現代語訳 143

『法華玄義』現代語訳 143 d.法門の眷属を明らかにする 眷属妙について述べるにあたっての四つめは、「法門の眷属を明らかにする」である。これは、『維摩経』において、普現色身菩薩(ふげんしきしんぼさつ)が浄名居士(じょうみょうこじ・『維摩経』…

法華玄義 現代語訳 142

『法華玄義』現代語訳 142 c.麁妙を明らかにする 眷属妙について述べるにあたっての三つめは、「麁妙を明らかにする」である。三蔵教の本性を持つ眷属は、その本性は劣っている。昔の結縁における縁もまた浅く小さい。その後、中間において仏法をもって…

法華玄義 現代語訳 141

『法華玄義』現代語訳 141 ◎神通生の眷属を明らかにする 神通生(じんつうしょう)の眷属とは、もし前世で仏に会って、真理に向かう心を発して真諦を見たとしても、生まれ変わる因縁がまだ尽きていなければ、あるいはさらに上の世界に生まれ、あるいは他…

法華玄義 現代語訳 140

『法華玄義』現代語訳 140 ⑨.眷属妙 迹門の十妙の第九に、眷属妙(けんぞくみょう)について述べる。これについては五項目を立てる。来意(注:次第のこと)を明らかにし、眷属について明らかにし、麁妙を明らかにし、法門の眷属を明らかにし、観心につ…

法華玄義 現代語訳 139

『法華玄義』現代語訳 139 e.麁と妙を明らかにする 説法妙について述べるにあたっての五つめは、「麁と妙を明らかにする」である。ここにおいて、五つの項目を立てる。一つめは理法について、二つめは言葉について、三つめは内容について、四つめはあら…

法華玄義 現代語訳 138

『法華玄義』現代語訳 138 b.大小を分ける 説法妙について述べるにあたっての二つめは、「大小を分ける」である。つまり、説法における大乗と小乗を区別することである。『法華経』では、十二部経の中の九部を指して、大乗に入る前の経典としている。す…

法華玄義 現代語訳 137

『法華玄義』現代語訳 137 〇追加箇所 (注:この箇所も、内容的には「a.説法の名称を解釈する」の段落の中にあることは間違いないが、ここまで分けられた段落と、そのほとんどの内容が重複している。このようなことから、この箇所は、章安の私記的な内…

法華玄義 現代語訳 136

『法華玄義』現代語訳 136 ◎定名 十二部経を定名(じょうみょう・名前が定められた理由)によって分けると、四つに分けられる。まず一つめは、修多羅(しゅたら・古代インド語のスートラの音写文字。当時の経典はひもでつなげられていたので、ひもを意味す…

法華玄義 現代語訳 135

『法華玄義』現代語訳 135 ⑧.説法妙 迹門の十妙の第八に、説法妙(せっぽうみょう)について述べる。『法華経』に「諸法は示すべきではない。言葉の相は寂滅している。しかし因縁があるので、説き示すべきである」とある。前に悪を破る「薬樹王身」と善…

法華玄義 現代語訳 134

『法華玄義』現代語訳 134 d.麁妙を明らかにする 神通妙について述べるにあたっての四つめは、麁と妙を明らかにすることである。神通をもって人々を導くことにおいては、ただその身を変えて、その聖人の持つ報いに応じた働きをするだけではない。その国…

法華玄義 現代語訳 133

『法華玄義』現代語訳 133 c.同異を明らかにする 神通妙について述べるにあたっての三つめは、同異を明らかにすることである。たとえば、餓鬼道に生まれることは、業の報いにおける神通である。また、人は薬を飲んで神通を得る。仏教以外の宗教である外…

法華玄義 現代語訳 132

『法華玄義』現代語訳 132 ⑦.神通妙 迹門の十妙の第七に、神通妙(じんつうみょう)について述べるが、これについて、四つの項目を立てる。一つめは、次第を明らかにし、二つめは、名数を明らかにし、三つめは、同異を明らかにし、四つめは、麁と妙を明…

法華玄義 現代語訳 131

『法華玄義』現代語訳 131 ⑤麁妙を明らかにする 感応妙について述べるにあたっての五つめは、麁と妙を明らかにすることである。これについて、三つの項目がある。一つめは、機の麁と妙を明らかにし、二つめは、応の麁と妙を明らかにし、三つめは、麁を開…

法華玄義 現代語訳 130

『法華玄義』現代語訳 130 d.相対を明らかにする 感応妙について述べるにあたっての四つめは、機と応の相対を明らかにすることである。これについて四つの意義がある。一つめは、この世のあらゆる苦楽と聖人の三昧の慈悲の相対についてであり、二つめは…

法華玄義 現代語訳 129

『法華玄義』現代語訳 129 c.同異を明らかにする 感応妙について述べるにあたっての三つめは、同異を明らかにすることである。ここに三つの項目を立てる。一つめは、四句について不同を論じ、二つめは、三十六句について不同を論じ、三つめは、十法界に…

法華玄義 現代語訳 128

『法華玄義』現代語訳 128 b.相を明らかにする 感応妙について述べるにあたっての二つめは、相を明らかにすることである。まず、善悪について機の相を明らかにして、次に慈悲について応の相を述べる。 もし善悪をもって機の相を述べるならば、機は善な…

法華玄義 現代語訳 127

『法華玄義』現代語訳 127 ⑥.感応妙 迹門の十妙の第六に、感応妙(かんのうみょう)について述べるが、ここまで述べた境妙・智妙・行妙・位妙の四妙を「円因」と名付け、三法妙の秘密蔵を「円果」とする。境妙が究竟して顕われる仏を「毘盧遮那(びるし…