大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

法華玄義 現代語訳 126

『法華玄義』現代語訳 126 g.四悉檀によって考察する。 第七に、四悉檀によって考察するとは次の通りである。 問う:十種類の三法および他のすべての説が、みな三軌ならば、ただまさに三軌のみとなるはずではないか。なぜいろいろな説を述べるのか。 答…

法華玄義 現代語訳 125

『法華玄義』現代語訳 125 ⑧三涅槃 第八に三涅槃(注:性浄涅槃・円浄涅槃・方便浄涅槃)と三軌を類通させれば、次の通りである。地論宗の人は、「ただ性浄涅槃と方便浄涅槃の二つがあるだけである。実相を性浄涅槃と名付け、因を修して成就するのを方便…

法華玄義 現代語訳 124

『法華玄義』現代語訳 124 ③三仏性 第三に三仏性と三軌を類通させれば、真性軌は正因仏性(しょういんぶっしょう・もともと備わっている仏性のこと)であり、観照軌は了因仏性(りょういんぶっしょう・仏性自ら仏性を照らす智慧のこと)であり、資成軌は…

法華玄義 現代語訳 123

『法華玄義』現代語訳 123 f.他の三法と照らし合わせる 第六に、他の三法と照らし合わせるとは、前に三軌の最初と最後を明らかにしたが、すなわちこれは、縦に通じることに妨げがないことであり、ここでは、横にあらゆる教えを通して、すべて妨げがない…

法華玄義 現代語訳 122

『法華玄義』現代語訳 122 c.麁と妙を判別する。 第三に、麁と妙を判別するとは次の通りである。 三蔵教は有為の福徳において、三法を論じて乗とする。四念処は聞いて生じる智慧であり、教乗という乗り物に乗って四善根に至る。四善根は行乗に乗って見…

法華玄義 現代語訳 121

『法華玄義』現代語訳 121 b.個別に三軌について述べる。 第二に、個別に三軌について述べるとは、まず如来が用いる開合という方便について知るべきである。そうすれば、三法を「一大乗」とすることが理解できる。仏は何の教えから、あらゆる権乗を開く…

法華玄義 現代語訳 120

『法華玄義』現代語訳 120 ⑤.三法妙 迹門の十妙の第五は、三法妙(さんぽうみょう)について述べるが、三法妙とは、すなわち妙の位が立脚するところの教えである。三法とは三軌のことである。三軌の「軌」とは軌範(きはん)のことである。言い換えれば…

法華玄義 現代語訳 119

『法華玄義』現代語訳 119 ◎妙位の初めと終わりを明らかにする。 第六の位である円教の位について述べるにあたっての十番めの項目は、妙位の初めと終わりを明らかにすることである。真如の教えにおいては、位を順番に進めるということはなく、一地・二地…

法華玄義 現代語訳 118

『法華玄義』現代語訳 118 ◎経典から引用する 第六の位である円教の位について述べるにあたっての九つめの項目は、経典から引用して述べる。これは、『涅槃経』に記されている五味の譬喩を引いて四教について述べることである。もし四教をもってこの譬喩…

法華玄義 現代語訳 117

『法華玄義』現代語訳 117 ◎開麁顕妙について 第六の位である円教の位について述べるにあたっての八つめの項目は、開麁顕妙について明らかにすることである。三乗を破って一乗を顕わす相待妙(そうだいみょう)の意義は、前に説いた通りである。三乗をそ…

法華玄義 現代語訳 116

『法華玄義』現代語訳 116 もし仏が相手の能力に応じて、位を立てたり廃したりするならば、それは『無量義経』にある通りとなる。「無量の法とは、一法から生じる。いわゆる二道、三法、四果である」とある。「二道」とは、すなわち頓教と漸教である。「…

法華玄義 現代語訳 115

『法華玄義』現代語訳 115 ◎位が立てられた意味について 第六の位である円教の位について述べるにあたっての六つめの項目は、位が立てられた意味について明らかにすることである。 問う:権位がみな麁ならば、仏は何の意味をもって位を説いたのか。 答え…

法華玄義 現代語訳 114

『法華玄義』現代語訳 114 ◎功用について 第六の位である円教の位について述べるにあたっての四つめの項目は、功用(くゆう)について明らかにすることである。この功用という言葉について、まず二つに分けると、「功」とは、自ら進むことであり、「用」…

法華玄義 現代語訳 113

『法華玄義』現代語訳 113 ◎煩悩を抑え断じることについて 第六の位である円教の位について述べるにあたっての三つめの項目は、煩悩を抑え断じることについて明らかにすることである。 円教の位の最初である五品弟子位の人は、すでに一実諦の四諦を理解す…

法華玄義 現代語訳 112

『法華玄義』現代語訳 112 ○問答 問う:無明は仏性・中道を覆う。ただ、「四十二品(十住・十行・十廻向・十地・等覚・妙覚)として断じることでじゅうぶんであるのか。 答える:無明は本来存在するものではないとはいえ、あるものではないながらあるので…

法華玄義 現代語訳 111

『法華玄義』現代語訳 111 ○経文を引用して証する 次に、経文を引用して証することは、あらゆる経典の文を引用して、位の数の多少を明らかにすることである。『涅槃経』に「月愛三昧(がつあいざんまい・月の光の増減を禅定に喩えたもの。『涅槃経』に説…

法華玄義 現代語訳 110

『法華玄義』現代語訳 110 その2.七種の位について 五品の位の次に、十信・十住・十行・十廻向・十地・等覚・妙覚の七種によって、円教の位の段階を明らかにする。 「十信」 七種の第一は十信の位である。最初に円教について聞くことにより、よく円教の…

法華玄義 現代語訳 109

『法華玄義』現代語訳 109 その1.五品の位について 「初随喜品(随喜)」 もし人が、前世からの良い業が深く厚いならば、あるいは善知識(ぜんちしき・仏の教えに導いてくれる人)に会い、あるいは経典に従って、完全な妙理を聞くことができる。その妙…

法華玄義 現代語訳 108

『法華玄義』現代語訳 108 f.最実事 最後に、第六の位とは、最実位である。すなわち円教の位である。この位について述べるにあたって、十の項目を立てる。名称とその意義について分類し、位の数を明らかにし、煩悩を抑え断じることについて明らかにし、…

法華玄義 現代語訳 107

『法華玄義』現代語訳 107 ◎総合的に菩薩の位について述べる 二つめの、総合的に(注:「四教」を超越してという意味)菩薩の位について述べるとは、すなわち『瓔珞経』と『般若経(大品般若経)』と『涅槃経』の三つの経典によることである。 まず、『瓔…

法華玄義 現代語訳 106

『法華玄義』現代語訳 106 e.大樹 大樹の位とは、別教の位である。この位について述べるにあたって、三つある。一つめは経論の不同をあげ、二つめは総合的に菩薩の位について述べ、三つめに別教の各位について述べる。 ◎経論の不同をあげる この別教の…

法華玄義 現代語訳 105

『法華玄義』現代語訳 105 ○意義は通教 第二に、「意義は通教」ということは次の通りである。すなわち別教の名称を用いて、通教の菩薩の位に当てるのである。別教の名称とは、すなわち十信・三十心(十住+十行+十廻向)・十地(通教の十地とは異なって…

法華玄義 現代語訳 104

『法華玄義』現代語訳 104 ◎名別義通 先に三乗共(さんじょうぐう)の位である十地について述べたが、次に名別義通(みょうべつぎつう・名称は別教で、その義は通教という意味。通教の人が次の段階である別教に入りやすくするための教え)を述べる。そし…

法華玄義 現代語訳 103

『法華玄義』現代語訳 103 d.小樹 小樹の位とは、すなわちこれは通教である。通教は声聞、縁覚、菩薩の三乗に通じる教えである。この三乗の人は、共通して言葉を用いない行をもって煩悩を断じ、第一義諦に入ることを明らかにする。体法(たいほう・教え…

法華玄義 現代語訳 102

『法華玄義』現代語訳 102 c.上の薬草 上の薬草は、三蔵教の菩薩の位である。この菩薩は、初めて悟りを求める心を起こしてより慈悲・四弘誓願をもって四諦を観察し、道諦をもって初門とし、六波羅蜜を行じる。最初の釈迦仏より罽那尸棄仏(けいなしきぶ…

法華玄義 現代語訳 101

『法華玄義』現代語訳 101 「見得」 第四に見得(けんとく)の位とは、随法行の人が修道に入ることを、見得と名付ける。これは能力の高い人が、自ら智慧の力をもって教えを見て、真理を見るために、見得と名付ける。この人は修道にあって、順に須陀洹・斯…

法華玄義 現代語訳 100

『法華玄義』現代語訳 100 〇総相念処 第三に、総相念処(そうそうねんじょ・四念処を別々ではなく総合的に行なうという意味)の位とは、前にすでに別相念処の智慧をもって四顛倒を破っているが、ここでは、深く微細な観心の智慧をもって総合的に四顛倒を…

法華玄義 現代語訳  99

『法華玄義』現代語訳 99 b.中の薬草 中の薬草の位は、すなわち声聞と縁覚の二乗である。これはそれぞれの修行の結果に基づいて位を判別するのである。以前の解釈の中に、「『成実論』では深く大乗を解き明かし、菩薩の義を解釈するのである」とあるが、…

法華玄義 現代語訳  98

『法華玄義』現代語訳 98 〇日行天(にちぎょうてん) 次に、日行天は、須弥山の周りを廻っている宮殿に住んでいる。仏教以外の宗教では、日曜、あるいは星宿(しょうしゅく)という。その天は、概略して三十六億あるという。昔、七戒(後の説明あり)を保…