大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

天台四教儀 現代語訳  20(完)

『天台四教儀』現代語訳 20(完) 第二節「十乗観法」 次に正式な修行における十乗観法(じゅうじょうかんぽう・観心において常に認識すべき十種の事柄)について述べる。これについては、四教でそれぞれ十種の名称は同じだが、その内容は異なる。今ここで…

天台四教儀 現代語訳  19

『天台四教儀』現代語訳 19 第四章「観心」 しかし、上に述べた四教によって修行する時、それぞれの教えにふさわしく、方便の修行と正式な修行ある。つまり、二十五方便(にじゅうごほうべん)と十乗観法(じゅうじょうかんぽう)である。もし各教えにおい…

天台四教儀 現代語訳  18

『天台四教儀』現代語訳 18 第二項「十信の位」 円教の八つの位について、二番めの十信の位について述べるが、これは六根清浄位(ろっこんしょうじょうい)ともいう。初信の位で見惑を断じて真理を顕わす。蔵教の初果と通教の八人地と見地と別教の初住と同…

天台四教儀 現代語訳  17

『天台四教儀』現代語訳 17 第一項「五品弟子位」 円教の八つの位について、まず最初の五品弟子位について述べる。この五品の一つめは随喜品である。『法華経』の「分別功徳品」に、「もしこの経を聞いて批判せず、その内容に対して喜びの心を起こす」とあ…

天台四教儀 現代語訳  16

『天台四教儀』現代語訳 16 第四節「円教」 (注:これ以降、化法の四教の四番めである円教の説明となるが、結局、円教が天台教学における究極的な教えであり、ここまでの蔵教・通教・別教とは次元を異にする。そのため、これまでは比較的用語だけを並べる…

天台四教儀 現代語訳  15

『天台四教儀』現代語訳 15 第三節「別教」 次に別教について述べる。この教は界外の菩薩の法だけを明らかにするものである。教・理・智・断・行・位・因・果は前の二教と別であり、後の円教とも別であるために、別教と名付ける。 『涅槃経』に、「四諦の…

天台四教儀 現代語訳  14

『天台四教儀』現代語訳 14 第二節「通教」 次に通教について述べる。前の藏教に通じ、後の別教と円教に通じるために、通教と名付けられる。また、この教えの特徴によって名を得る。つまり、声聞と縁覚と菩薩の三人が同じく真理は言葉では表現できないとい…

天台四教儀 現代語訳  13

『天台四教儀』現代語訳 13 ③「菩薩」 次の菩薩の位は、初発心(しょほっしん・初めて悟りを得ようという心を発した時という意味)の最初から四諦を修行の対象として、四弘誓願(しぐせいがん・四つの優れた誓願という意味。後述あり)を起こし、六波羅蜜…

天台四教儀 現代語訳  12

『天台四教儀』現代語訳 12 ②「縁覚」 次の縁覚は、またの名を独覚(どっかく・一人で悟るという意味)という(注:独覚については後述される。まず述べられる十二因縁の教えを受けた縁覚は、厳密には独覚とは言えない)。 縁覚は、仏がこの世にいる時代に…

天台四教儀 現代語訳  11

『天台四教儀』現代語訳 11 第三項「修行」 (注:先に、三蔵教の教理として四諦があげられたが、次に三蔵教の修行について述べられる。これを「行位(ぎょうい)」ともいう。 なお、特に蔵教の教理と修行については、非常に項目が多い。なぜなら、蔵教は…

天台四教儀 現代語訳  10

『天台四教儀』現代語訳 10 ②「集諦」 四諦の第二は、集諦(じったい・苦しみの原因は煩悩であるということ)である。集諦はすなわち、見思惑(けんしわく)のことであり、または見修(けんしゅう)といい、または四住(しじゅう)という。 (注:集諦の段…

天台四教儀 現代語訳  09

『天台四教儀』現代語訳 09 第二項「四諦」 (注:この三蔵教の教理として、四諦があげられる。この箇所の記述は大変長い) この三蔵教においては、声聞と縁覚と菩薩の三乗の違いがある。最初の声聞の人は、「生滅四諦(しょうめつのしたい・諦とは真理と…

天台四教儀 現代語訳  08

『天台四教儀』現代語訳 08 第三章「化法の四教」 第一節「三蔵教」 第一項「三蔵教とは」 これから化法の四教について述べる。第一の三蔵教の三とは、『四阿含経』などの修多羅蔵(しゅたらぞう・修多羅とは、すでに述べられたように、十二部経の分類から…

天台四教儀 現代語訳  07

『天台四教儀』現代語訳 07 第七節「問答」 (注:ここでは、これまで記されてきたことについての問答形式の内容となる)。 問う:この『涅槃経』に四教が説かれていると言うが、前の方等時の経典も四教を説いている。それらは同じとするのか、異なってい…

天台四教儀 現代語訳  06

『天台四教儀』現代語訳 06 第二項「涅槃経」 (注:第六節「法華涅槃時」の第二項となる。先に『法華経』について述べられたので、次に第二項として「涅槃経」とする)。 次に『涅槃経』について説く。 (注:原文では、「次に大涅槃を説く」と表記されて…

天台四教儀 現代語訳  05

『天台四教儀』現代語訳 05 第六節「法華涅槃時」 (注:前回見たように、化儀の四教はすでに終わった。ここからは、五時と五味のみの範囲となる。五時は法華涅槃時であるが、本文ではまず『法華経』について述べられるので、第六節第一項として「法華経」…