大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

法華玄義 現代語訳  12

『法華玄義』現代語訳 12 第六目 顕露不定教(けんろふじょうきょう) ここまで教えを分別してきたが、ここまでの分別の仕方は、教えとその教えによって得られる悟りがはっきりしている場合について、漸教・頓教そして五味の喩えによって分ける方法であっ…

法華玄義 現代語訳  11

『法華玄義』現代語訳 11 第五節 標教(標章判教) 教相(きょうそう)を述べることの名称について、三つの項目を立てる。一つめは、根性の融不融の相、二つめは、化道の始終不始終の相、三つめは、師弟の遠近不遠近の相である。 教相の「教」とは、悟りを…

法華玄義 現代語訳  10

『法華玄義』現代語訳 10 第四節 標用(標章論用) 経典の働きを表わす名称の解釈にあたって、三つの項目を立てある。一つめは、示(じ)、二つめは、簡(けん)、三つめは、益(やく)である。 第一項 示(言葉の意味を示す) 経典の霊的働きを「用」とい…

法華玄義 現代語訳  09

『法華玄義』現代語訳 09 第三節 標宗(標章明宗) (注:ここからは再び、天台大師の講述となる)。 経典が記された目的を表わすという名称の解釈にあたって、三つの項目を立てる。一つめは、示(じ)、二つめは、簡(けん)、三つめは、結(けつ)である…

法華玄義 現代語訳  08

『法華玄義』現代語訳 08 第二節 標体(標章弁体) 次に五重玄義の第二である「弁体」は、経典の教えの真実の体(たい・本体という意味)について述べられるが、その「標章」として四つの項目を立てる。一つめは、釈字(しゃくじ)、二つめは、引同(いん…

法華玄義 現代語訳  07

『法華玄義』現代語訳 07 第一章 標章(ひょうしょう) (注:これより章・節・項・目などの見出しで段落を着けていくが、この区切りは必ずしも伝統的な分け方ではなく、その都度、適宜にわかりやすいと思われる流れに従って分けたものである。さらに目以…

法華玄義 現代語訳  06

『法華玄義』現代語訳 06 第一部 七番共解 序 七番共解の名称 五重玄義の通論(注:『法華経』に限らず、他の経典に共通する事柄を論述することであるが、五重玄義の対象が、『法華玄義』では『法華経』に限るので、結果的に通論も『法華経』に限られるこ…

法華玄義 現代語訳  05

『法華玄義』現代語訳 05 序章 五重玄義 (注:これから『法華玄義』の本文となるが、まず序章である。ここでは、五重玄義について簡潔に説明がなされている)。 釈名第一(しゃくみょう・経典の名称を解釈する) 弁体第二(べんたい・経典の教義について…

法華玄義 現代語訳  04

『法華玄義』現代語訳 04 4.譚玄本序(たんげんほんじょ) (注:これ以降、天台大師の二番目の「序」となる。最初の天台大師の「序」は、『妙法蓮華経』という題目についての論述であったが、今回の序は、この『法華経』で説かれる内容そのものについて…

法華玄義 現代語訳  03

『法華玄義』現代語訳 03 3.私序王 (注:天台大師の「序」の箇所に続いて、章安灌頂の二番目の「序」が続く。最初の灌頂の「序」は、この『法華玄義』を記述した経緯が記されていたが、ここに記される灌頂の「序」は、灌頂自身の悟りの体験から、『法華…

法華玄義 現代語訳  02

『法華玄義』現代語訳 02 2.序王 (注:ここからは、天台大師の序の箇所となる) この『妙法蓮華経』(=『法華経』)の「妙」とは、不可思議すなわち、人間の思考では理解することができない、という意味によって名付けられる。「法」とは、十界(じゅっ…

法華玄義 現代語訳  01

『法華玄義』現代語訳 01 天台大師智顗(ちぎ・538~598)講述 灌頂(かんじょう=章安灌頂・しょうあんかんじょう・561~632)筆記 1.法華私記縁起 私、灌頂がこの書を記すに至った経緯を述べる。 大いなる教えが東に伝えられて来た歴史にお…