大乗経典と論書の現代語訳と解説

経論を通して霊的真理を知る

2022-01-01から1年間の記事一覧

法華玄義 現代語訳 148

『法華玄義』現代語訳 148 ◎問答 (注:原文には「問答」という段落分けはされていないが、明らかにここから問答をもって、以上の内容をまとめる箇所となる)。 麁と妙の衆生の感と、別教と円教の応、そして清浄の国土と汚れている国土、浅深の利益は、こ…

法華玄義 現代語訳 147

『法華玄義』現代語訳 147 ○声聞の利益 声聞の利益とは、もし人が生死にとらわれるならば、死んでさらにこの世に生を受け、さらにまた死んで、それによって精神的に病んで、生まれ変わり死に変わりが際限なく続く。貪欲に覆われ、ヤクが自分の尾を追うよ…

法華玄義 現代語訳 146

『法華玄義』現代語訳 146 ○因の利益 因の利益とは、二十五有の修行の利益である。そもそも自分の利益のため、あるいは他人の利益のための因果は、それぞれの意義に従って、両極端をあげて述べれば容易である。しかし、前に述べた果報の利益については、…

法華玄義 現代語訳 145

『法華玄義』現代語訳 145 ◎十益 次に個別に説けば十種の利益となる。第一は果の利益、第二は因の利益、第三は声聞の利益、第四は縁覚の利益、第五は蔵教の菩薩の利益、第六は通教の利益、第七は別教の利益、第八は円教の利益、第九は変易生死の利益、第…

法華玄義 現代語訳 144

『法華玄義』現代語訳 144 ⑩.功徳利益妙 迹門の十妙の第十に、功徳利益妙(くどくりやくみょう)について述べる。功徳と利益は一つであり、異なることはない。もし分別すれば、自らを益とすることを功徳と名付け、他の人を益とすることを利益と名付ける…

法華玄義 現代語訳 143

『法華玄義』現代語訳 143 d.法門の眷属を明らかにする 眷属妙について述べるにあたっての四つめは、「法門の眷属を明らかにする」である。これは、『維摩経』において、普現色身菩薩(ふげんしきしんぼさつ)が浄名居士(じょうみょうこじ・『維摩経』…

法華玄義 現代語訳 142

『法華玄義』現代語訳 142 c.麁妙を明らかにする 眷属妙について述べるにあたっての三つめは、「麁妙を明らかにする」である。三蔵教の本性を持つ眷属は、その本性は劣っている。昔の結縁における縁もまた浅く小さい。その後、中間において仏法をもって…

法華玄義 現代語訳 141

『法華玄義』現代語訳 141 ◎神通生の眷属を明らかにする 神通生(じんつうしょう)の眷属とは、もし前世で仏に会って、真理に向かう心を発して真諦を見たとしても、生まれ変わる因縁がまだ尽きていなければ、あるいはさらに上の世界に生まれ、あるいは他…

法華玄義 現代語訳 140

『法華玄義』現代語訳 140 ⑨.眷属妙 迹門の十妙の第九に、眷属妙(けんぞくみょう)について述べる。これについては五項目を立てる。来意(注:次第のこと)を明らかにし、眷属について明らかにし、麁妙を明らかにし、法門の眷属を明らかにし、観心につ…

法華玄義 現代語訳 139

『法華玄義』現代語訳 139 e.麁と妙を明らかにする 説法妙について述べるにあたっての五つめは、「麁と妙を明らかにする」である。ここにおいて、五つの項目を立てる。一つめは理法について、二つめは言葉について、三つめは内容について、四つめはあら…

法華玄義 現代語訳 138

『法華玄義』現代語訳 138 b.大小を分ける 説法妙について述べるにあたっての二つめは、「大小を分ける」である。つまり、説法における大乗と小乗を区別することである。『法華経』では、十二部経の中の九部を指して、大乗に入る前の経典としている。す…

法華玄義 現代語訳 137

『法華玄義』現代語訳 137 〇追加箇所 (注:この箇所も、内容的には「a.説法の名称を解釈する」の段落の中にあることは間違いないが、ここまで分けられた段落と、そのほとんどの内容が重複している。このようなことから、この箇所は、章安の私記的な内…

法華玄義 現代語訳 136

『法華玄義』現代語訳 136 ◎定名 十二部経を定名(じょうみょう・名前が定められた理由)によって分けると、四つに分けられる。まず一つめは、修多羅(しゅたら・古代インド語のスートラの音写文字。当時の経典はひもでつなげられていたので、ひもを意味す…

法華玄義 現代語訳 135

『法華玄義』現代語訳 135 ⑧.説法妙 迹門の十妙の第八に、説法妙(せっぽうみょう)について述べる。『法華経』に「諸法は示すべきではない。言葉の相は寂滅している。しかし因縁があるので、説き示すべきである」とある。前に悪を破る「薬樹王身」と善…

法華玄義 現代語訳 134

『法華玄義』現代語訳 134 d.麁妙を明らかにする 神通妙について述べるにあたっての四つめは、麁と妙を明らかにすることである。神通をもって人々を導くことにおいては、ただその身を変えて、その聖人の持つ報いに応じた働きをするだけではない。その国…

法華玄義 現代語訳 133

『法華玄義』現代語訳 133 c.同異を明らかにする 神通妙について述べるにあたっての三つめは、同異を明らかにすることである。たとえば、餓鬼道に生まれることは、業の報いにおける神通である。また、人は薬を飲んで神通を得る。仏教以外の宗教である外…

法華玄義 現代語訳 132

『法華玄義』現代語訳 132 ⑦.神通妙 迹門の十妙の第七に、神通妙(じんつうみょう)について述べるが、これについて、四つの項目を立てる。一つめは、次第を明らかにし、二つめは、名数を明らかにし、三つめは、同異を明らかにし、四つめは、麁と妙を明…

法華玄義 現代語訳 131

『法華玄義』現代語訳 131 ⑤麁妙を明らかにする 感応妙について述べるにあたっての五つめは、麁と妙を明らかにすることである。これについて、三つの項目がある。一つめは、機の麁と妙を明らかにし、二つめは、応の麁と妙を明らかにし、三つめは、麁を開…

法華玄義 現代語訳 130

『法華玄義』現代語訳 130 d.相対を明らかにする 感応妙について述べるにあたっての四つめは、機と応の相対を明らかにすることである。これについて四つの意義がある。一つめは、この世のあらゆる苦楽と聖人の三昧の慈悲の相対についてであり、二つめは…

法華玄義 現代語訳 129

『法華玄義』現代語訳 129 c.同異を明らかにする 感応妙について述べるにあたっての三つめは、同異を明らかにすることである。ここに三つの項目を立てる。一つめは、四句について不同を論じ、二つめは、三十六句について不同を論じ、三つめは、十法界に…

法華玄義 現代語訳 128

『法華玄義』現代語訳 128 b.相を明らかにする 感応妙について述べるにあたっての二つめは、相を明らかにすることである。まず、善悪について機の相を明らかにして、次に慈悲について応の相を述べる。 もし善悪をもって機の相を述べるならば、機は善な…

法華玄義 現代語訳 127

『法華玄義』現代語訳 127 ⑥.感応妙 迹門の十妙の第六に、感応妙(かんのうみょう)について述べるが、ここまで述べた境妙・智妙・行妙・位妙の四妙を「円因」と名付け、三法妙の秘密蔵を「円果」とする。境妙が究竟して顕われる仏を「毘盧遮那(びるし…

法華玄義 現代語訳 126

『法華玄義』現代語訳 126 g.四悉檀によって考察する。 第七に、四悉檀によって考察するとは次の通りである。 問う:十種類の三法および他のすべての説が、みな三軌ならば、ただまさに三軌のみとなるはずではないか。なぜいろいろな説を述べるのか。 答…

法華玄義 現代語訳 125

『法華玄義』現代語訳 125 ⑧三涅槃 第八に三涅槃(注:性浄涅槃・円浄涅槃・方便浄涅槃)と三軌を類通させれば、次の通りである。地論宗の人は、「ただ性浄涅槃と方便浄涅槃の二つがあるだけである。実相を性浄涅槃と名付け、因を修して成就するのを方便…

法華玄義 現代語訳 124

『法華玄義』現代語訳 124 ③三仏性 第三に三仏性と三軌を類通させれば、真性軌は正因仏性(しょういんぶっしょう・もともと備わっている仏性のこと)であり、観照軌は了因仏性(りょういんぶっしょう・仏性自ら仏性を照らす智慧のこと)であり、資成軌は…

法華玄義 現代語訳 123

『法華玄義』現代語訳 123 f.他の三法と照らし合わせる 第六に、他の三法と照らし合わせるとは、前に三軌の最初と最後を明らかにしたが、すなわちこれは、縦に通じることに妨げがないことであり、ここでは、横にあらゆる教えを通して、すべて妨げがない…

法華玄義 現代語訳 122

『法華玄義』現代語訳 122 c.麁と妙を判別する。 第三に、麁と妙を判別するとは次の通りである。 三蔵教は有為の福徳において、三法を論じて乗とする。四念処は聞いて生じる智慧であり、教乗という乗り物に乗って四善根に至る。四善根は行乗に乗って見…

法華玄義 現代語訳 121

『法華玄義』現代語訳 121 b.個別に三軌について述べる。 第二に、個別に三軌について述べるとは、まず如来が用いる開合という方便について知るべきである。そうすれば、三法を「一大乗」とすることが理解できる。仏は何の教えから、あらゆる権乗を開く…

法華玄義 現代語訳 120

『法華玄義』現代語訳 120 ⑤.三法妙 迹門の十妙の第五は、三法妙(さんぽうみょう)について述べるが、三法妙とは、すなわち妙の位が立脚するところの教えである。三法とは三軌のことである。三軌の「軌」とは軌範(きはん)のことである。言い換えれば…

法華玄義 現代語訳 119

『法華玄義』現代語訳 119 ◎妙位の初めと終わりを明らかにする。 第六の位である円教の位について述べるにあたっての十番めの項目は、妙位の初めと終わりを明らかにすることである。真如の教えにおいては、位を順番に進めるということはなく、一地・二地…